サッカー映画を通じた
人々を繋ぐコミュニケーションのかたち

福島成人 – サッカー映画を通じた人々を繋ぐコミュニケーションのかたち

サッカー映画を通じた
人々を繋ぐコミュニケーションのかたち

ヨコハマ・フットボール映画祭 実行委員長
福島 成人(ふくしま なりと)

サッカー映画を通じた
人々を繋ぐコミュニケーションのかたち

世界中のサッカー映画の上映やエキスポ、トークイベントなどで盛り上がりを見せる、開催12年目を迎えたヨコハマ・フットボール映画祭。
実行委員長の福島さんが思い描く、サッカー映画を通した人々の繋がりや、コミュニケーションのかたちについて聞いてみた。
Photo: Kazunari Ogawa
Edit: Jyuri Kuwahara
最初に、福島さんがされている活動について教えていただけますでしょうか?
福島
元々映画業界でサラリーマンをしていまして、業界特有の業務をIT化するサービスの開発やウェブサイト制作、東京国際映画祭の公式サイト運営を手掛けていました。その仕事と並行して、色々なゲストを招いてサッカーについて話し合うイベントを行っていました。その中で「障害者サッカー映画の上映会をやらないか」「松本と長野のサッカークラブが対戦するドキュメンタリー映画を盛り上げてくれないか」などの話がくるようになりました。そこから「サッカー映画はたくさんあるけれど、なかなか自分の周りのサッカーファンの人たちは観ていない。では映画祭という形にして上映会をすれば皆が観てくれるんじゃないか」ということで、サッカー業界で活躍する編集者、デザイナー、サポーターと一緒にヨコハマ・フットボール映画祭をスタートさせました。2011年以来、毎年1回開催しています。



サッカー映画なのでもちろんスポ根や感動のドラマを楽しんでもらいたい。加えてサッカーを通じて人種差別、貧困、ジェンダー、障害、宗教などの社会課題を訴える作品もたくさん上映してきました。そういった課題を直接的に捉えた作品もたくさんありますが、サッカー映画というフォーマットで知ることで、より身近なものとして理解することができます。サッカー映画なので、必ずプレーシーンが映りますが、そのスタジアムの様子で、主人公の置かれている状況がすぐに伝わります。イングランドのすごく豪華なスタジアムとネパールの小学校の校庭の真ん中に木が立っているグラウンド。それだけで、社会のありようがわかってしまうのがサッカー映画の面白いところです。
福島さんが映画祭の運営をされている中で、サッカーを通じてそこでしか会えない人や、そこでしか体験できないことを提供することが大事だととある記事でおっしゃっていたのが、印象に残っています。
福島
映画祭には、いろんなスタイルでサッカーを愛する人たちが集まるようになりました。蹴るのが好き、応援するのが好き、写真を撮るのが好きなどなど。その輪がもっともっと広がっていってほしいな、と思っているんですよね。今は特にコロナ禍だったりするので、人と会ったり、新しい人と出会う場所っていうのがなかなか少なくなっていますし、新しい体験をすることが少なくなっているんじゃないかと思って。もともとサッカーは世界で一番多くの人たちが楽しんでいるスポーツなので、サッカーが好きだと、色々な人と仲良くなれるんですよね。例えば僕もワールドカップに行くと、全然言葉がわからない人でも、昔だと中田や、本田の名前をだして交流しあうことができます。逆に現地の有名な選手を褒めるとすごく仲良くなれたり。そういう場を映画祭を通じて提供できればと思っていますね。
ご自身の実体験が、YFFFの場所作りにつながっているのですね。
福島
そうですね。普通は、映画祭の参加の大きい目的は「いい映画を観る」とことがだと思うんですけど、僕たちの場合はそこにプラスして、新しい体験をしてもらうことを大事にしています。
映画祭の会場ではフットボールエキスポという催しも開いています。僕たちはサッカー×映画なんですけれども、世の中にはサッカー×写真、サッカー×フリーペーパー、サッカー×アパレル、サッカー×社会活動といろんな活動をしている人たちがいます。そういう人たちに集まってもらって、映画を観に来たお客さんとコミュニケーションしてもらおうという企画です。
もともと、小池純輝という選手が児童養護施設のこどもたちを支援する活動をしていて、その活動の一環でTシャツを作ったんですけど、ネット通販だけだったんです。
僕はそのTシャツを買いたいなと思っていましたが、通販の手続きをするのが面倒に感じたんですよね。多分同じことを思っている人も多いだろうなと思ったので、映画祭で販売しませんか、と提案をしました。「映画祭の場で直接ファンの方とお話することで、商品の良さや支援活動への思いもうまく伝わると思いますよ」と。結果、映画祭での販売を機に、活動の支援の輪が広がりました。
インターネットの便利さとは違うリアルの対面の良さを再確認しました。
他にも、サッカーにまつわるトークイベントにも力をいれていて、映画、エキスポと合わせて3つの角度からの体験を提供しています。
サッカー映画を通じて、新しい視点や気づきの場を作っているんですね。映画祭を開催していく中で一番やりがいを感じる瞬間はどこでしょうか?
福島
僕の場合は、皆さんが書いてくださった作品の感想を見た時に嬉しさを感じますね。僕自身は映画の良さを伝えるのが得意ではないのですが、観てくれた人が「こういう良さがあるんだよ」と文章にまとめてくれた時に、自分が感動していたポイントを改めて知れた感じが石ます。
そして、映画を作った人がいて、僕たち上映した人がいて、それを受け取って発信してくれる人がいてというリレーが繋がっていく、パスが繋がっていくことも嬉しいですね。
僕自身は何かを作るっていうよりも、みんなとコミュニケーションをすることで色々な人の意見をきいたり、新しいアイデアだったり、そういうものを知るのがすごく好きなので、映画祭がそういう場所になっていっているとすごく嬉しいですよね。
ちらっとwebの話が出ましたが、弊社で去年と今年、webサイトの制作をしてみていかがでしたか?
福島
カンパニーのスタッフの方は基本的に、僕たちのやろうとしているサッカーカルチャーみたいなものを理解してくださったりとか、理解しようと努力してくださっているのがわかるので、有難いですね。ざっくりとしたイメージしかない状態のものを、リサーチして形にしてくださったり、それを元に提案してくださるのですごくやりやすいです。必ず+αを出して、お客さんたちに分かりやすくするためにちゃんと考えてくださるので、すごく有難いです。映画祭としてサイトを作ってもらい情報も整理してもらったので、しっかりとレベルは上がったかなと思います。さっき言ったように映画だけではなくて、イベントやゲストをきちんとまとめてくださったので、それはすごくよかったですね。
僕たちがやろうとしていることとか、理想みたいなものをすごく理解してくださっているのかなと思います。そういうのはすごく言語化しづらかったりシステム的なものじゃなかったりするので、そこはフォローしてくださって有難かったですね。
喜んでいただけて良かったです!

福島さんは一緒に仕事をしていく中でどういう基準でパートナー選びをされていますか?
福島
人柄が大事ですよね。僕たちの仕事は最初から要件がバシッと決まっているケースが少ないし、映画祭では途中で情報がアップデートされてくるので、そのあたりを柔軟に対応してくれることはすごく大切ですし。ある程度見越しておいてくださるとすごくありがたいですね。密にコミュニケーションをとっていただければキャッチアップしてくれるのかなとは思っていて、そこが大事なのかなと思っていますね。
今後、福島さんの活動やYFFFとしてどういう方へ向かっていきたいかお伺いしたいです。
福島
日本のサッカー映画を海外に持っていきたいです。

世界には10以上のサッカー映画祭が存在します。今までもドイツやインドネシアで日本のサッカー映画を上映してきましたが、その数を増やしていきたいですね。

そして、日本の独特なサッカーカルチャーを世界のサッカーファンに紹介したいです。「サッカーは戦争だ」というヒリヒリした楽しみ方だけでない、マスコットだったり、スタグルだったりという日本で発達した楽しみ方を体験してもらいたいです。



あともっと近い話でいうと、映画祭のトークショーは今後、有料コンテンツとして販売していきたいなと思っています。今回も日本代表を指揮していたトルシエさんに来てもらったり、サッカーの有名な実況アナウンサーの方に来てもらって貴重なお話を聞きましたが場所が30人とか限られていたのでもっと沢山の人とシェアできるようにしていきたいなと思っていますね。



そして、映画祭は1年のうち1週間のみの開催になっていますが、それ以外の360日も、ファンの方々と交流できるような場所を作っていきたいと思っています。
今後もご一緒できるのを楽しみにしております!本日はありがとうございました!

Contact

制作に関するお問い合わせ