はじめに、YDKテクノロジーズとはどのような会社ですか?
佐野
何をやっている会社かと言いますと、まず防衛ビジネスです。ミサイルの先端を弊社で作っています。次に環境計測ビジネスですね。昨今日本は災害大国じゃないですか。河川が氾濫したり、地震があったり。そういったことを感知して計測している機器の部門が2つ目にあります。3つ目が航空燃焼ビジネスです。ロケットやミサイルの点火装置を作っている部門になります。4つ目は航海です。大きな船の操縦をする機器ですね。車で言うと運転席にあたるものを作っています。この4つの部門でなりたっているのがYDKテクノロジーズという会社になります。
今、こういった不安定な国際状況なので、日本も防衛費を増強しています。災害の多い国なので地震や降水量などを感知するシステムもなくてはならないものですし、航空・燃焼事業は飛行機を飛ばしたりするには必要不可欠な事業です。人間が生きていく上でなくてはならないもの…車や穀物、ワインもそうですし、日本は島国で船による輸出、輸入にかなり頼っているので航海事業も欠かせません。どの部門も我々の生活には欠かせないようなものを取り扱っていて、それをBtoB向けに展開しています。
これはザ・カンパニーさんに作って頂いた会社案内ですね。今の弊社の製品カタログは違うデザイナーさんが作っているので、ゆくゆくはこの会社案内に寄せられたデザインの製品カタログをザ・カンパニーさんにお願いできたらいいなと思っています。
ぜひ!!佐野さんのお仕事内容について伺ってもよろしいでしょうか?
佐野
私は4つの事業の中の航海事業部門に従事していて、海外営業をしています。主なお客さんは造船所さんだったり、船を運航する船主さんです。仕事内容としては、「船を作りたい」というオーダーを造船所さんに発注する世界の船主さん向けに、我々の製品を使ってくださいという売り込みをし、YDKの製品の採用約束を取り付けるのが僕の今のメインの仕事です。ユーザーさんに気に入ってもらって、指名してもらうという活動をしているので、コロナ前はほとんど日本にいなかったですね。だから普通の製品を売り込むというだけじゃなくて、24時間365日寄り添っています、という営業を船主さん向けにしています。そういう意味で「Sensing with you」というタグラインを作りました。
船主さんと製品使用の約束を事前にする営業方法を確立したのが佐野さんだとお伺いしました。
佐野
今までうちの会社はそんなに海外の船主様に強くなくて、造船所さんに対する営業がメインでした。そのやり方では獲れるものが限られている。やっぱりやるんだったらシェア70%、80%を獲りたい。でも過去、船主さんに対して営業をやっていない時のシェアは30%、40%だったんですね。でもそれじゃ満足いかなかったのでそういう船主裏工作を始めたんですけど(笑)
で、とりわけ世界の船主様のなかでもギリシャがいちばんの船主大国なのですが「あんなに経済破綻している国がなんで世界一なの?」と思われるかもしれませんが、ギリシャは昔から海運会社に対して免税措置をとっていて、税金を納めなくていいという仕組みがあったので、たくさんの会社が進出してきたんですね。当初はそれで国も成り立ってはいましたが、数年前に経済破綻してしまいました。「大儲けしている船主から税金取ればいいじゃん」という風になりますが、税金をとったらとったでこの人たちがギリシャからいなくなってしまう。そうしたらここに雇用されている何十万人という人が失業する可能性があるということで、ギリシャ政府は今も税金を取れないでいます。そういう理由があってギリシャがナンバーワンで、第2位が中国。それにシンガポールや日本が続きます。ザ・カンパニーさんも日本郵船さんとお仕事をやっていると思うのですけれども、我々も日本郵船さんが日本ではナンバーワンの船主のお客様ですね。
オーナーさんに直接営業をするようになったきっかけ、やろうと思ったきっかけはなんでしょうか?
佐野
きっかけはコンペティターからシェアをもっと獲りたいというところがあったのですが、最初のうちはなにから手をつけていいかわからなかったですね。10年前くらい…30ちょっとの時にそれを始めましたが、最初は各船主様の事務所に行っても全く相手にされませんでした。でも何回も何回も訪問して行ったら、「今日飯食いに行こうか」ということが何回かあって、そのようなことを繰り返しているうちに関係性が深くなっていきました。「ここの船主はYDK友好船主だよ」と自信を持って言い出せるようになったのは5、6年前くらいですかね。なので最初の5年くらいは大変でした。
営業の仕事は自社製品がいかに「御社のお役に立てますよ」というのをプレゼンするイメージなのですが、そういったプレゼンのコツはありますか?
佐野
僕らが売っているのは船には絶対なくてはならないものなので、大きな事故にならないように色々な搭載ルールがあります。なので他社製品と比べた時に、どこがストロングポイントなんですかと聞かれても、正直そんなにないんですよ。要はルールに合致したものを納入しなければいけないものなので。だからもちろんライフサイクル、メンテナンスコストでは他社よりも安く抑えられますよとか、ライフサイクルが長いですよとか、そういう事くらいしか言えないんですよね。だからやっぱり「お前から買ってやるよ」という関係性を作るのが、僕が日々営業をやっていて、お客さんと会うときに心がけているところかもしれないですね。
先方とお会いする上で気をつけていることはありますか?
佐野
あまりかしこまった感じで行かないようにしています。プレゼンの冒頭はなるべく、その国の言葉で話したりとか。
コロナ禍で今は中々海外に行けないじゃないですか。でも4月から中国の担当が増えたので、自己紹介動画を中国語で撮ってそれを各所に送りました。会ったことない人からしてみれば、会ったことがなくても動画とかを送ったら話しやすいですよね。
今回、ギリシャのポシドニアで一緒にお仕事をさせてもらったと思いますが、現地はどのような感じでしたか。
佐野
まず、ザ・カンパニーと僕の出会いから言った方がいいかもしれないですね。代表の橘さんのモラルとか価値観みたいなのが、僕にフィットしそうな人だなっていうのがまず第一印象でした。初めの電話とか、最悪だったんですけど(笑)
佐野
社名を変えるにあたってブランディングできる会社を探そうと思い、ネットで何社かピックアップをしていて。その中の一社だったザ・カンパニーさんに電話したのが年末営業の最終日、12月28日の19時くらいでした。そんな年末の最終日にこういった社名ロゴの依頼の電話なんかくると思っていなかったようで、橘さんに「え?なに?なんの営業?」と言われて。「いや、営業じゃなくて、これこれこうで」と経緯の説明をして。そうしたら「大変申し訳ございません」となって年明けにうちの会社に話を聞きに来てもらったのが最初の出会いなんですけど。僕、その対応が嫌に思わなかったんですよ。というのも僕が逆の立場だったらそうしていたかもしれないし。そういう意味で多分ちょっと合うかもしれないという感覚がありました。
会社案内やロゴの打ち合わせをしていく中で、カンパニーさんとギリシャの展示会「ポシドニア」を一緒にやってみたいと思うようになりましたね。ポシドニアは僕が2014年から担当しているギリシャの海事展です。私の中で世界の中でも思い入れがあるギリシャ・アテネで開催される、2年に1回の展示会をこの人たちとやってみたいな、と。自分がドキドキワクワクするっていうような人とワクワクするような仕事を一緒にできたらいいなというのがきっかけでした。YDKとして久しぶりの海外の展示会は、とても爽やかなザ・カンパニー色のブースになりました。
忘れもしないポシドニアの初日、日本人の方が来て「YDKさん雰囲気変わりましたね」と言ってくださいました。ブースの事に色々な言葉をいただいて、ブースを変えるということで印象もお客さんも変わるし、社名が変わって初めての展示会だったので、そういう意味ではとても良かったんじゃないかな、という風に思います。デザインが爽やかで、日本パビリオンでは一番目立っていたんじゃないでしょうか。それはやっぱり僕たち営業マンと、ザ・カンパニーがデザインしたブースが良かったからだと思います。
ザ・カンパニーとの展示会がどうだったかというと、もちろんここからがスタートだと思っています。海外の展示会で僕らがこれからやるのはギリシャだけじゃないですし。僕が1番思い入れのある国で、1週間以上の時間を共有できたというのは今後のお互いのためになったんじゃないかと思いました。
佐野
YDKの水色と海のグラフィックと、僕たちが思い描くギリシャのイメージがマッチしているのがとても良かったなと思っています。次はあの国でこういうことをやりたい、というのをフランクに言える関係ができてきたので、今後が楽しみですね。次に僕が考えているのはアメリカや中国の展示会です。僕はアメリカの展示会にも中国の展示会にも行ったことがないので、お互い初めての場所で良いものが作り出せたら、ドキドキワクワクな仕事ができるんじゃないだろうかと思っています。
あとは日本のパビリオンは皆大人しいんですよね。海運業界の展示会では、日本人がやっているところと、他の国がやっていることの温度差があるので、日本はこんなんじゃ他の国に飲み込まれるぞと思ってしまいます。なので今後は日本パビリオンのブースを盛り上げるようなこともしていきたいですね。ザ・カンパニーにとってもチャレンジじゃないですか。そういうことを一緒に考えて形にしていくこと、日本の海運業界と航海機メーカーを盛り上げることに取り組んでいきたいです。
是非ともドキドキワクワクするような仕事を一緒にしましょう!本日はお時間いただきまして、ありがとうございました!