日本蜜蜂の養蜂2022.06.20
鳥肌が立つのを感じたなんてのはいつぶりのことだろう。
我が家の庭先に置いていた捕獲箱に日本ミツバチが集まってきているのだ。
私は小躍りした(本当にした)。
今朝はよく晴れ、鳥たちがうたい、窓からのぞく新緑が眩しいくらいに光り輝いている。
そんな時、部屋で聞いていたのはLaraaji(ニューエイジミュージックの教祖的存在)だったりして、思ってもいなかった彼らの到来に神秘というものを感じない訳はなかった。ゾクゾク。
それはなにか言い当てられない不思議な感覚だった。
出産や発芽の体験と似ているのかもしれない。蜂を「飼う」や「育てる」というイメージの始まりとは少し違った、もっと自分と近しい感じなのだ。
私が改装して4月から暮らし始めたこの家に彼らもすぐにやってきて、まだ落ち着かない生活を一緒に0から作っていくような。それはどこか家族や親友との距離感だった。彼らの巣箱は窓から1メートルしか離れていないのだ。
鳥肌の理由はざっとこんなところかもしれない。
捕獲箱の作り方を教えてくれたNさんに連絡をすると缶コーヒーを持ってすぐにやって来てくれた。
鹿の罠の朝の見回りをしていたようだ。
「あ、これは入ってるね、すごいじゃん!」
自分ごとのように喜んでくれた。
日本ミツバチの捕獲は難しいことなのだ。1年目からゲットした私はラッキーだ。
目に見える蜂の数は数十匹と少ないながら入り口を出たり入ったりしている。
箱を観察しているかのように羽を羽ばたかせてじっと一箇所にいるものもいる。
私の顔に寄って来るものもいる。
誘因のために置いていたキンリョウヘンという蘭にはもう誰も見向きもせず、各々が黙々と働き蜂の名に恥じない動きを見せているようだった。
昼休みも帰宅後もただただ巣箱が気になって眺めてしまう。
こんなほっこりを感じているのはいつぶりだろう。
とにかく、かわいい。普段あまりこの言葉を使うのは好きではないが、とにかくかわいいのだ。
村には私を含め5人が日本蜜蜂を飼育している。
もちろん甘い蜂蜜を目指して活動しているつもりだろうが、本当はただただ蜂がかわいくてやっているのはバレバレだ。
この村に移り住んで1年と少し。振り返れば、蜂がやってきたこの瞬間が一番嬉しかったことだと堂々と私は言うだろう。そのくらいの出来事なのだ!
なんだかこの気持ちがあまり上手く伝え切れていないような・・・。
自分でも蜂との関係がなぜこんなにも興味深いものなのかよくよく考えてみたいと思う。
無事に美味しい蜜が採れますように。
続く。