voiceニッチなファンの作り方株式会社八城地建 代表取締役社長 吉田 篤史
北海道・札幌を拠点として創業39年を迎える八城地建。新たに建築設計部門のブランディン
グに取り掛かり、自社の考え方にあった顧客を着実に作りつづける同社の考え方とは?
Photo_Kazunari Ogawa Edit_Keisuke Tachibana
今回我々がお手伝いさせて頂いたのは建築事業部にあたる「THE EIGHT WORKS」というブランドの立ち上げだった訳ですが、まずは八城地建がどのような会社かをお聞かせください。もともとは不動産の売買仲介業をメイン事業としてはじまって、今年で39年目を迎えました。現在は大きく分けると売買仲介と建
築なんですが、細かく分けるとこれに加えて賃貸管理やリフォームなどもあるので、不動産事業全般を地域に根ざしてやっていま
す。今回立ち上げた「THE EIGHT WORKS」は新築に特化した住宅ブランドという立ち位置になります。
「THE EIGHT WORKS」というブランドはどのようなポジションを目指しているブランドなんでしょうか?うーん、どんなブランドなんだろう(笑)
一言で言えばやっぱり「北海道らしいブランド」というのを目指しています。
北海道に適した構造はもちろんですが、天然素材を使った家づくりを基本とし、中でも北海道産の天然木を使用していたり、外壁
に使用するレッドシダーという材料は北海道の気候によく似たカナダ産を使用する事で、木の風合いが全面にだせる且つ、耐久性
を備えた建物を提案しています。外壁を含め多くの箇所に木材を使用する事で、経年変化を楽しめるという点がこの建物の一番の
特徴です。
その経年美をわかっていただけるお客様だけにご提案する。本当の意味でお客様と価値観を共有できる事がこのブランドの強みだ
と思っています。ブランドというとなんだか気恥ずかしいのですが(笑)
一つの事業部をこれだけ作り込んでいるのは立派なブランドだと思います。もちろんブランドという意識はあるのですが、ブランドを作ったというより、こだわっている部分をちゃんと伝える方法が今の形
だったのかもしれません。
新築住宅は大きく分けるとハウスメーカーが作る家と建築家が作る家に分かれると思うんだけど、ハウスメーカーは数を量産する
かわりに安価にできる。でもデザインはわりと均一化してしまう。建築家が作る家はこだわりを詰めこめるけど高価格になってし
まう。その中で私たちは、私たちの強み・好みを全面に打ち出してそれを理解してくださるお客様に対してゆっくりと丁寧な家づ
くりを提案するので、それを受け入れてもらっている感覚はあります。
僕らが最初に「THE EIGHT WORKS」の仕事に携わったときにターゲットやペルソナを細かく設定した資料をいただきました。あそこまでちゃんと設定された資料を頂ける事はあまりないのですが、どのようにして作っていったのですか?まず自分ならどんな家が欲しいだろう、と考えたんですよね。自分が好きなものを売るには、自分と近しい価値観の人じゃないと
難しいよなと。最初はそんな感じで自然となっていってたんですが、それを明文化してなかったので、それだと自分たちの商品を
ただ事務的に説明してしまう。でも設定しておくと商品も設計も共感をもってもらいやすくなる。それらをザ・カンパニーさんに
表現してもらったっていう事です。考えていた事とお客様に打ち出す表現がリンクしたっていう感じです。
ターゲット、ペルソナの明文化前と後では違いはありますか?かなりあります。明文化する前は誰にでも同じように説明してましたので、この雰囲気が好きじゃない人にも同じように説明して
しまってて。でもペルソナを設定すると伝えたい人が明確になるので、より掘り起こせる。だから商品はますます尖ってきていま
す。クオリティをキープする事がなにより大切なので年間10棟程度しか建てないというのもブランド価値を高めてくれてるなと。
結果として競合がなくなりましたね。
競合がなくなるというのは大きいですね。そんなブランド作りをするとなった際に私たちを選んでもらった理由はなんでしょう?単にデザインをしてくれる会社ではなくて、僕らの考えている事、伝えたいことを形にしてくれる表現者のような側面を強く感じ
たところですかね。札幌にもおしゃれに作ってくれる会社は沢山あるんですけど、表面だけを格好良くするというよりは、私たち
の性格をしっかりと表現してもらう事が大事だったので、その価値観に共感をもてました。あとはなんですかね。提案書のクリッ
プが洒落てたからかな(笑)
あれに影響があったとは(笑)ありがとうございます。実際にお仕事させていただいていかがでしたか?仕上がりはかなり満足しています。僕らはゆっくり考えて進めていきたいという思いもあったんですが、急がされることもなく、
このペースに付き合っていただきながらとても良いものが出来上がったと思っています。悪い点を言えば、札幌での打ち合わせ時
に若干酔っ払ってたって事ぐらいですかね(笑)
それは本当にすいません(笑)普段はそんなこと有りえませんから!次はリフォーム事業のリブランディングですね。そちらも引き続き、宜しくお願いします!