voice空間作りの専門家が考える
セルフブランディング株式会社アーバンスペース 代表取締役 中島謙二
30年以上に渡り、名だたる海外自動車メーカーのショールームデザインを数多く手がけてき
たアーバンスペース。空間デザインの専門家が考えるセルフブランディングとは?
Photo_Kazunari Ogawa Edit_Keisuke Tachibana
今回「空間作りの専門家が考えるセルフブランディング」ということでインタビューをさせて頂く訳ですが、まず初めに、アーバンスペースとはどのような会社ですか?
我々の会社は自動車のショールームを専門にデザインしている会社なんですが、中でも輸入車のショールームを多く手がけていま
す。CI(コーポレートアイデンティティ)の中でもビジュアルの部分、つまり店舗デザインを中心に業務をしております。
海外メーカーの場合はグローバルで店舗のデザインが決まっていて、日本でも世界で統一されたデザインで展開しています。その
中で我々は各自動車メーカーと契約し、全国にお店をつくるときに基本となるデザイン・プランを考え、お店の竣工までマネージ
メントしていくというのがメイン業務になります。
もう少し具体的にお話しすると、自動車のショールームの場合はフランチャイズ形式なので現地のディーラーさんが自身のお金で
お店をつくるわけです。そうすると設計ですとか建築は現地で手配されるわけですが、そういった各業者の方々に向けて詳細の図
面を我々が供給して、彼らの設計図をチェックし、現場が始まってからの質疑に対して、ビジュアルの部分をコントロールしてい
く。いわゆる意匠管理をやっています。
様々なレギュレーションの中で進めていく業務なんですね。
そうですね。我々の場合は設計デザインだけにとどまらず、お店につける看板、什器もトータルでサポートしています。それらも
世界統一のものなので、メーカーによっては日本で内製化しているものもありますし、本国の指定しているサプライヤーから輸入
してきて現場に収めるということもあるんですが、意匠監理に始まり、製作や輸入代行業務、時に施工まで企画段階から竣工まで
トータルにサービスを提供しています。
グローバルで展開しているクライアントと接していく中で一番気をつけている部分を教えてください。
我々はメーカー側からデザインに対してはある一定の権限をもらってます。ですので、オーナーさんに対して、メーカーサイドの
一方通行の提案にならないように気をつけています。
実際にお店を運営するのはディーラーさんですし、なにより大切なのは店舗に足を運ばれるお客様がいかに気持ちよくこのショー
ルームで過ごせるかという部分です。もちろん本国のデザインは尊重しつつも、居心地が良く、使い勝手の良いショールームをつ
くるという事を一番大切にしています。
細やかな調整をグローバル企業と行い、様々なブランディングを手がけているかと思いますが、自社のブランディングに対してはどのようにお考えですか?
私たちの会社でなにがブランドかと言いますと、社員の一人一人がブランドであると考えています。
我々はある意味ソフトを提供しているわけですが、メーカーのブランドを扱っているという事で非常に専門性があり、特異性があ
る業務をやっています。32年の歴史に裏打ちされた財産、ノウハウが私たちにはある訳なんですが、それを社員のみんなが共有し
てお客様により良いものを提供する、他社にないサービスを提供する、クオリティの高いサービスを提供する。社員一人一人にそ
ういった思いを理解してもらった上でスキルをつけてもらい、その経験をもとにお客様に満足を与える事が会社のブランディング
につながると考えています。
今回、ロゴマークから始まり、会社案内や営業ツールなどを私たちにご依頼いただいたわけですが、実際のところ出来栄えはいかがでしたでしょうか?忌憚ないご意見を頂戴できれば・・(笑
率直に言って、すごく満足しています。自分が社長になって、会社のロゴを含めてイメージを一新したいという中で、私の思いを
橘さんが非常によく理解してくださった事と、私の気づいていない部分を掘り起こして、最終的に素晴らしいロゴマークを作って
くれたと思っています。会社案内につきましても、我々にないアイデアがたくさんあり、それを課題に合わせてご提案いただける
ので、そのあたりも非常に満足しています。
我々も同じくクリエイティブな仕事をしていると言いつつ、やはり自動車のショールームに特化しているので、逆にそれ以外の分
野のクリエイティブなスキルや感性においては私の満足するものが社内には感じられないこともありました。その部分をThe
companyさんがデザインのプロとしてしっかりとサポートして頂いたので大変助かりましたし、大満足しています。
ありがとうございます。僕らもそう言っていただけて嬉しい限りです。最後に会社の今後の展望をお聞かせください。
そうですね。きたるべき自動車業界の変革の中で、我々の会社がどういったサービスを提供できるのかを模索している最中ではあ
りますが、人口減という問題に対応するべく、海外にもあるネットワークを活かし、特にアジアパシフィックのマーケット市場の
掘り起こしをするべく議論を重ねています。
日本は、自動車業界で言えばトヨタ、日産、ホンダをはじめ世界有数の自動車メーカーがあるわけですが、そういったメーカーは
勿論、海外展開を目指す企業を我々のネットワークを使ってサポートしていくというのを積極的にチャレンジしていこうと思って
います。夢でもあるんですが、将来的には私たちの持つ世界中のネットワークを活かして、よりスケールの大きな仕事をしたいと
考えています。
海外で勝負する事が具体的にイメージできているわけですね。その際はまた色々とご一緒できればと思います(笑)今日はありがとうございました。