何もない日の日記2019.07.30
火曜日の朝、7時半に目覚めて階段を降りると有難くも朝食が用意してある。
今日私がやらなくてはいけないことは一つもない。本当はあるが、時間に制限のあることは何もなく義務ではない。
外は薄曇りで湿気、むんむんとしている。
昨日父が職場の高校でカブトムシを採ってきた。
友人の息子にあげるためだ。ただ友人は遠方に住んでいるので、私の家の近所に住んでいる友人の祖父母宅にいったんカブトムシを預けることになった。
二重にされたビニール袋には都会では値のつきそうな立派な腐葉土と餌のゼリーが入っていて、そこでカブトムシは静かに眠っているようだ。
リュックの底にカブトムシを入れて自転車に乗った。
近所の川沿いにある大きな宗教法人の立派な城が見えてきた。
白装束を着た人々が橋の淵に立っていて、おはようございます!と元気に挨拶をかましている。橋を渡るのは信者の方か理系の大学生かのほぼ2択で、私は橋を渡り切る頃には疲弊してしまっていた。
城壁沿いにたくさんの露店が並んでいる。乾燥昆布とワカメを売っている露店の水色の垂れ幕が目を引く。信者さんたちを相手に商売をする人の表情が天気の背景ととてもよく似合っている。
「御生誕祭」の看板が城の門に立っている。偉い方の誕生日なのだろう。
花火が上がった。
右からも左からも沢山の人が小奇麗な恰好をして城に吸い込まれていく。
タクシーが駐車場に入るための渋滞をかわしてものすごい勢いで走り抜ける。クラクション。
城から10分ほどで友人祖父母の家に着いた。
友人の母のホワイトさんはおしゃべり好きだ。
孫がイスラエルの大学へ行くことになった。先日まで富山で親の身辺整理をしていた。教会から郵便物が届いたが科学物質過敏症のため開封出来ず牧師に何の用事かと電話した。女性の生殖器は若いほうがいい。親にはお金の世話にだけはならないようにしなさい。なんかの話を30分ほどして、失礼した。
何故か一度に二杯出してくれた緑茶は美味しかった。
口数も少ない祖父の方は、釘とかをサイズ別に入れるようなプラスチックのケースに毎日の薬を丁寧に分け入れていて、私がいる間も何度か粉末の薬を体内に流し込んでいた。
帰りがけ、国道沿いのBook Offで町田康の文庫を三冊買う。
Book Offの客は何故かみなぶつぶつ言っていたり言いたそうな雰囲気を醸し出していて、昼間から文庫本を物色している自分もそう思われているかもと思うと悪寒が走った。
そのまま国道の中古車屋で軽バンの値段を見ながら家へ帰った。
昼食は焼き飯とけんちん汁だった。
特に会話もなく母と昼食を済ませるが、別にお互い悪い気分なわけでは全くない。
天気のせいもあるのか毎日よく眠る。
しかも食事の後は必ずといっていい程にどうしようもない眠気に襲われる。
なので、食後は眠ることにしている。長い時には3時間以上眠っている。
今日読んだ本には、現代ではいらない情報を忘れる最も効果的な手段は眠ることだと書いてあったが、私は何か大切なことを忘れたがっているが故にこんなにも眠っているのではないかと思ってしまう。長い旅の後や何かに疲弊している時は腐ったようにいつも長いこと眠っている。村上春樹の小説みたいだ。
だから今もそういう時期なのだと思って素直に眠ることにしている。
起きるともう16時くらいになっていて、近所の図書館へ行く。
近隣にはお年寄りが沢山住んでいるので図書館の本も遺産相続とか、歴史巡りの旅、みたいなチョイスの本が多く辛気臭い。なのでいつも本は自分で持参する。館内の人は目障りなので誰もいない外のテラスに座った。
居眠りせずに家に帰り夕食を両親と食べる。ほぼ毎晩晩酌になる。酩酊。
また泥のような眠りに落ちる。
体のいう通り、もうすこしの間、眠り続けようと思う。