先祖のルーツ2020.10.15
The Companyでもお世話になっているノブさん夫婦が熊本の天草にお試し移住とやらでやって来た。
私が住んでいる所から2時間くらいの距離だ。遊びに行ってみよう。
ついでに、趣味で家系図を辿っている はとこ に頼まれた親戚探しもしてみよう。
確か天草に行くことがあったら連絡してくれ、と去年言われた記憶がある。
家系図はすでにもらっていて手元にある。
はとこに電話してみると、現存する遠い親戚(私のばあちゃんの兄弟)の家の住所は既に突き止めてあった。どうやら葬儀屋を営んでいるらしい。一体どうやって家を探し当てることができたのか。
住所を検索すると、なんとなんと、親戚の家はノブさん達の滞在先から車で10分の所にあるではないか。
それは昨日釣りをしていた堤防から見えていた家では・・・。
これは、行けってことですよね?
こういうことって、たまーにありますよね?
私は突撃が好きなのでアポは取らない。
いきなりインターフォンを押す!
「ピンポーン」・・・「はぁ~い」
「あのぉ、突然すいません。わたくしサハラトモといいまして、やまざきうめのの孫なんですが・・・」
「あぁ・・・、おとうさ~ん、おとうさ~~ん」
簡単に言うと、私のばあちゃんの兄弟の息子夫婦、そして近所に住んでいる私のばあちゃんの兄弟夫婦も呼んでくれて5人で話は始まった。
私はてっきり全員「ハジメマシテ」な方々かと思った。しかし4人は私のじいちゃんの葬式や、両親の結婚式にも出席していたらしい。その時は遠くのどこかで暮らしている親族のお方くらいの認識で、親近感を覚えることもなかったのだろう。
でも、母親のことをカズコチャンとちゃん付けで呼んだり、両親と歳がほとんど同じだったりして、話しているうちにだんだんと血縁があるという実感が湧いてきた。
私に調査の依頼をしたはとこはこだわり派で、天草を訪ねた時にしてほしい質問を山ほど送ってきていた。
そしてそれを録音してほしいと。
家紋、職業、じいちゃんの満州でのこと、天草の車エビの養殖で名を馳せたヤマザキさんについて、戸籍上でヤマザキとヤマサキがあるが何故か、墓の場所、宗教、などなど。
極めつけは我が家でもたまに話題にあがる辛子明太子の質問で、辛子明太子を発明したのは私のじいちゃんにあたる人ではないのかという話までも・・・。
都市伝説のように半信半疑で過去をいろいろと遡っていった。
しかし残念なことに、私が先祖についてほとんど何も分からないのと同じように、おじさん達もそんなに昔のことを知っている訳ではなかった。
過去帳を見ても詳細に家系図が記されているわけではなかった。
そして訛りが強く半分くらいはよく分からなかったというのが正直なところだ。
歴史の伝承というのは本当に難しい。
小一時間ほど喋り、最後に家の裏手にある墓を見せてもらった。私は仏教徒ではないので手も合わせず、感慨深いこともない。
しかし、「そこの倉庫のあるところに君のじいちゃんは住んでいたんだ」と帰り際に言われると、すぐ目の前に広がる海が波の音と一緒にノスタルジーを引き寄せるような気持ちに私をさせた。
帰り際、冷凍された立派なタコを一匹頂いた。
「ありがとうございました。また来ます」
「おう、早く結婚して、子供をつくるんだぞ」
と、親族らしいパンチラインで送り出してくれた。
その夜、ノブさん夫婦とタコを頬張って酒を飲んでいる頃、天草のおじさんと私の両親は数十年前のじいちゃんの葬式振りに電話で話しをしていたようだった。
血のつながりは薄れても、たとえ間違っていたとしても、無くなるということはない。
タコと、焼酎のサイダー割りの味の記憶と共に、私の夏が終わろうとしいている。