村の宴会2022.07.22
先日の3連休、私の住む村で獅子舞の祭りが開かれた。
観光用として宣伝されないためにこじんまりとしているが、そのぶんローカルの臭気が強い。普段は他の地域に住んでいる若者も踊り子としてこの日になると村に帰ってくる。
新参者の私は踊りも楽器もできない。しかし上司の命令によってなんでもいいから祭りにかかわんなさいよ、となり、「這い回り」という衣装や小道具などを世話するパシリを任命された。
はぁ、またこのポジション、とほほ。
と言っても、私の住む村はどゆるなので何も頑張ってやるようなことはない。顔を出すときに顔を出し、バイブスを上げておけば万事は順調だ。
そして幸運なことに、いつどこの席でも必ず酒がある。さらに嬉しいことは、量を飲む奴がすごい奴という了解がどうやらあるということだ。私は皆が練習をしている時間に衣装の準備をしながら冷蔵庫の酒をぐいぐいと飲み、一躍「飲み師」の称号を与えられ存在感を出すことに成功した。
そんな具合なので祭り当日はアルコールによってかかるドライブが凄まじい。
今回はコロナのために路上での飲酒は禁止されたが、それでもみんな隠れて缶ビールを一気飲みして獅子の頭を威勢よく被るのだった。
そして、本番よりも楽しみな後夜祭の宴会へと雪崩れ込んでいく。
私が初めて村の宴会に参加した時の雰囲気は忘れられない。
たまたま食堂で鉢合わせた文化保存会の席には20人ほどがいたが、誰もが腹の底から自分が出せる最大音量の声で爆笑し、怒号し、奇声を発している。ある者は机を叩き、またある者はトイレにこもっている。笑いをとるためには手段を選ばない村人は裸になり、床を転げ、子供には聞かせられないワードを連発しまくっていた。
そして嫁からの電話によって一人、また一人と帰宅して行く後ろ姿のしょぼんな具合は漫画に描いたようで最後までゲラゲラと皆を笑わせるのだった。
この村民たちの本気具合と下品さは都内の店では出禁必須だろう。
そして、今回コロナ蔓延以降初となった祭は大成功に終わり、よって宴も大盛り上がり間違いなしだった。一人がTシャツを破かれたと思ったらトイレから帰ってきたやつはTシャツがズタズタに切り裂かれている。それを見た村人たちは一人、また一人とトイレへ向かい、ある者は乳首を丸く切り抜き、ある者はジーパンを切り裂き、そしてある者はもはや裸だった。気づけば会場の半分くらいの男が洋服の一部を薙ぎ捨てていた。中学生女子とかも参加している宴会なのに、すごい・・・。
この日本的裸芸を実際に見る機会は今まであまりなかったが、この底辺を這うような無意味さに意味の全くない笑いを起こさせる感情は何か桜のような潔さがあるとか思ってしまうのは、私だけ・・・?
このあと車2台に分乗して山梨までラーメンを食べに1時間走り、ラウンドワンで夜中の2時まで遊んで無事に村へ帰ってきた。
翌日の夜に再び舞う獅子舞までの間、再び昼間から酒を飲み始める村人、そして私だった。
村の盆が終わろうとしている。