2025年、企業の差別化はますます困難になっています。製品やサービスの機能的な違いが曖昧になる中、企業の「なぜ」を明確に言語化したブランドステートメントが、選ばれる企業と選ばれない企業を分ける決定的な要因となっています。
あなたの会社は「何のために存在するのか」明確に答えられますか?その答えを社員全員が共有し、顧客に伝えられていますか?
本記事では、効果的なブランドステートメントの作成方法から実践的な活用法まで、株式会社ザ・カンパニーが手掛けた実例を交えながら解説します。
ブランドステートメントは、企業の存在意義や提供価値を簡潔に表現した宣言文です。これは単なる美辞麗句ではなく、以下の3つの重要な役割を果たします。
社内の行動指針として 日々の意思決定で迷った際の判断軸となり、全社員の行動に一貫性をもたらします。
社外への約束として 顧客やパートナーに対する明確なコミットメントとして機能し、信頼関係の基盤となります。
差別化の源泉として 競合他社との明確な違いを生み出し、選ばれる理由を創出します。
実際に弊社が支援した日本郵船株式会社では、グリーンビジネス事業の旗印となるステートメントを開発。石油燃料に代わる次世代燃料への転換という企業姿勢を、社内外に力強く発信する言葉として機能させることに成功しました。
まず自社の本質的な強みを掘り起こします。創業の想い、培ってきた技術、顧客から評価されているポイントなど、あらゆる角度から自社を見つめ直すことが重要です。
分析のポイント
市場トレンド、競合動向、顧客ニーズの変化を分析し、自社が提供できる独自価値を相対的な視点から明確化します。
弊社が手掛けた帝人フロンティア株式会社のSOLOTEX®ブランディングでは、機能素材という専門的な価値を「快適な暮らし」という生活者視点に変換。B to B素材をB to Cマーケットで認知拡大させることに成功しました。
経営陣だけでなく、現場社員、既存顧客、パートナー企業など、多様な関係者の意見を収集。彼らが感じている自社の価値や期待を把握することで、より実態に即したステートメントが生まれます。
収集した情報を基に、以下の3つの要素を意識して言語化します。
シンプルさ – 専門用語を避け、誰もが理解できる平易な言葉を選ぶ 感情への訴求 – 論理だけでなく、読む人の心を動かす要素を含める 独自性 – 自社らしさと普遍的価値のバランスを保つ
作成したステートメントを実際の業務で試用し、以下の観点から検証します。
効果的なステートメントは、読んだ瞬間に企業の方向性が理解できます。抽象的な表現や曖昧な言い回しは避け、具体的なイメージが湧く言葉を選びましょう。
弊社が支援したラソワレディースクリニックでは、「絹(フランス語でラソワ)」という象徴的な言葉で、女性の繊細な悩みを優しく包み込むというコンセプトを表現。一つの言葉で全体のイメージを伝えることに成功しました。
「顧客第一」「品質重視」といった、どの企業でも言える内容では意味がありません。自社ならではの視点や、独特の表現方法を見つけることが重要です。
理想論に終わらず、実際の企業活動で実践できる内容であることが不可欠です。現在の企業の実力と目指すべき姿のギャップを認識した上で、段階的に実現可能な内容にすることが大切です。
対話型ワークショップの実施 形式的な唱和ではなく、ステートメントについて社員同士が語り合う機会を設けます。「このステートメントを実現するために、自分の仕事でできることは?」といった問いかけから始めると効果的です。
評価制度への組み込み 人事評価の項目にステートメントに基づいた行動指標を設定。日常業務とステートメントの関連性を明確にします。
成功事例の共有 ステートメントに沿った行動で成果を上げた事例を定期的に共有。抽象的な言葉を具体的な行動として可視化します。
一貫したブランドメッセージ ウェブサイト、パンフレット、プレスリリースなど、あらゆるタッチポイントでステートメントを基軸にしたメッセージを展開。
弊社が制作を担当した各企業のブランディングでも、ステートメントから派生したキーメッセージを様々な媒体で一貫して発信。ブランドイメージの定着を実現しています。
ストーリーテリングの活用 ステートメントが生まれた背景や、それを体現するエピソードを積極的に発信。単なる宣言文ではなく、生きた物語として伝えることで共感を生み出します。
ステートメントは「一度作ったら終わり」ではありません。以下のタイミングで見直しを検討しましょう。
根本的な価値観は維持しつつ、表現方法や重点の置き方を時代に合わせて調整。急激な変更は混乱を招くため、段階的な進化を心がけることが大切です。
効果的なブランドステートメントは、企業の羅針盤として機能し、社内外のステークホルダーとの強い絆を築く基盤となります。
作成プロセスでは、徹底的な現状分析と多様な視点の取り入れが重要であり、完成後は計画的な浸透施策と定期的な見直しが欠かせません。
ステートメントは企業の「魂」を言語化したものです。それゆえ作成には時間と労力がかかりますが、その投資は必ず企業の成長という形で返ってきます。
自社の存在意義を見つめ直し、未来への道筋を示すステートメントづくりに、ぜひ取り組んでみてください。ブランディングのご相談については、お気軽にお問い合わせください。
代表取締役 クリエイティブディレクター
1980年生まれ、東京都出身。2009年にザ・カンパニーを創業。 好きな食べ物:もずく 好きな果物:スイカと梨 好きな薬味:ミョウガとすだち ハマっている漫画:望郷太郎