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2024/08/13
ブランディングにおけるノベルティ活用の効果的な制作手順

 

 

 

企業が市場で選ばれ続けるためには、顧客の心に残るブランディングが不可欠です。その中でもノベルティは、手に取ってもらえる「ブランドの分身」として、非常に効果的なツールとなります。本記事では、デザイン会社の視点から、ノベルティを活用したブランディングの実践的な手法をご紹介します。

 

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1. なぜノベルティがブランディングに効果的なのか

1-1. ブランドを日常に浸透させる力

ノベルティの最大の強みは、顧客の日常生活に自然に入り込める点です。例えば、毎日使うペンやエコバッグにブランドロゴが入っていれば、使うたびにブランドを思い出してもらえます。これは広告では実現できない、継続的な接点づくりです。

弊社が手掛けた事例では、実用性の高いアイテムにブランドの世界観を落とし込むことで、単なる配布物ではなく「愛用品」として長く使ってもらえるノベルティを制作しています。

1-2. 感情的なつながりを生む仕掛け

ノベルティは「もらって嬉しい」という感情を引き出します。この好意的な感情が、ブランドへの好感度に直結するのです。特に、デザイン性が高く、品質の良いノベルティは、「このブランドは私たちのことを大切に思ってくれている」というメッセージを伝えます。

2. 効果的なノベルティ制作の5つのステップ

 

01
目的を明確にする
認知度向上・関係性強化・イメージ向上など、何を達成したいかを具体的に設定。目的によってアイテム選定やデザインの方向性が決まります。
02
ターゲットを深く理解する
年代・ライフスタイル・価値観を分析し、「嬉しい」と感じるアイテムを見極める。20-30代はトレンド性、40-50代は実用性を重視する傾向があります。
03
ブランドらしさを表現する
ロゴだけでなく、素材・質感・デザインまでブランドメッセージを反映。ノベルティは小さなキャンバスとして、ブランドの個性を表現する重要な要素です。
04
品質にこだわる
素材・印刷・使い心地・耐久性にこだわり、ブランド品質を体現。安かろう悪かろうのノベルティは、ブランドイメージを損なう可能性があります。
05
配布戦略を練る
イベント・購入特典・SNSキャンペーンなど、効果的な配布方法を設計。適切な配布戦略により、ノベルティの効果を最大化できます。
成功するノベルティの条件
戦略的に設計されたノベルティは、ブランドの価値を伝える強力なツールとなります

 

2-1. 目的を明確にする

まず最初に「なぜノベルティを作るのか」を明確にしましょう。

  • 認知度向上:新規顧客にブランドを知ってもらいたい
  • 関係性強化:既存顧客との絆を深めたい
  • イメージ向上:ブランドの価値観を伝えたい

目的によって、アイテム選定やデザインの方向性が大きく変わります。例えば、認知度向上が目的なら、多くの人が使いやすい汎用的なアイテムを。関係性強化なら、特別感のある限定アイテムが効果的です。

2-2. ターゲットを深く理解する

ノベルティが「嬉しい」と感じてもらえるかは、ターゲットの理解次第です。

年代別の傾向例

  • 20-30代:トレンド性、SNS映え、デジタル連携
  • 40-50代:実用性、品質、シンプルなデザイン
  • 60代以上:使いやすさ、安心感、わかりやすさ

ライフスタイルや価値観も考慮し、「この人たちが本当に欲しいもの」を見極めることが成功の鍵となります。

2-3. ブランドらしさを表現する

ノベルティは小さなキャンバスです。その中で、いかにブランドの個性を表現するかが腕の見せ所となります。

弊社が制作を手掛けたTHE TOBACCO様の空間ディレクションでは、「タバコは文化である」というコンセプトを、グッズひとつひとつにまで反映させました。ロゴだけでなく、素材選びや仕上げの質感まで、すべてがブランドメッセージを伝える要素となっています。

2-4. 品質にこだわる

安かろう悪かろうのノベルティは、ブランドイメージを損ないます。予算の制約がある中でも、以下の点は妥協しないことが重要です。

  • 素材の質感
  • 印刷の仕上がり
  • 使い心地
  • 耐久性

品質の高いノベルティは、それ自体がブランドの品質を物語るメッセージとなります。

2-5. 配布戦略を練る

せっかく作ったノベルティも、適切に配布されなければ効果は半減します。

効果的な配布方法

  • イベント・展示会:直接手渡しでブランドストーリーも伝える
  • 購入特典:リピート購買のきっかけづくり
  • SNSキャンペーン:拡散効果で認知度アップ
  • 会員限定配布:特別感の演出

3. 成功するノベルティの3つの条件

3-1. 実用性がある

日常的に使えるものは、ブランドとの接触頻度を高めます。ただし「実用的」の定義は、ターゲットによって異なることに注意が必要です。

3-2. デザイン性が高い

「人に見せたくなる」「捨てられない」デザインを目指しましょう。シンプルながらも洗練された、ブランドの世界観を体現するデザインが理想的です。

3-3. ストーリーがある

なぜこのアイテムなのか、どんな想いが込められているのか。ノベルティにストーリーを持たせることで、単なる配布物から「意味のある贈り物」へと昇華します。

 

成功するノベルティの3つの条件
01 実用性がある
02 デザイン性が高い
03 ストーリーがある
01
実用性がある
日常的に使えるものは、ブランドとの接触頻度を高めます
外出先でのスマートフォンの充電に使えるモバイルバッテリー、目や体の負担を軽減させるスマホスタンド・ノートPCスタンド、オンライン会議にも役立つマイク機能付きのワイヤレスイヤホンなどが近年人気の実用的ノベルティです。
2024年展示会調査: 「実用的なもの」が最も喜ばれるノベルティの特徴として第1位
世代別ニーズ
ビジネスパーソン: USBメモリ、スマホスタンド、保温ボトル
主婦層: エコバッグ、キッチングッズ、機能的アイテム
成功事例
展示会でモバイルバッテリーを配布した事例では、実用性の高さから参加者に大変喜ばれ、長期間のブランディング効果を獲得しました。
成功の方程式
実用性で日常に溶け込み、デザイン性で愛着を生み、
ストーリーで企業との感情的なつながりを創造する

 

4. 最新トレンドと今後の展望

4-1. サステナブル素材の活用

環境配慮は、もはや必須の要素です。リサイクル素材や生分解性素材を使用したノベルティは、ブランドの社会的責任を示すメッセージにもなります。

4-2. デジタルとの連携

QRコードやAR技術を組み込んだノベルティが増えています。物理的なアイテムとデジタル体験を組み合わせることで、より深いブランド体験を提供できます。

4-3. パーソナライゼーション

名入れや色選択など、個人に合わせたカスタマイズができるノベルティは、特別感を演出し、愛着を生みます。

5. よくある失敗とその対策

5-1. ターゲットとのミスマッチ

失敗例:若者向けブランドなのに、古臭いデザインのノベルティ 対策:ターゲット層へのヒアリングやアンケートを実施

5-2. 品質の妥協

失敗例:コスト重視で質の低いアイテムを大量生産 対策:数を減らしてでも、品質を保つ判断を

5-3. ブランドとの一貫性の欠如

失敗例:高級ブランドなのに安っぽいノベルティ 対策:ブランドガイドラインに沿った制作を徹底

まとめ

ノベルティは、正しく活用すれば強力なブランディングツールとなります。重要なのは、単なる「おまけ」ではなく、ブランドの価値を体現する「小さな大使」として捉えることです。

成功のポイントは以下の3つです:

  1. 明確な目的設定とターゲット理解
  2. ブランドらしさと品質へのこだわり
  3. 戦略的な配布と効果測定

ノベルティ制作は、ブランドと顧客をつなぐ大切な接点づくりです。デザインの力を活かし、心に残るノベルティを通じて、ブランドの価値を多くの人に届けていきましょう。

ノベルティブランディングFAQ

よくある質問(FAQ)

Q1. ノベルティ制作の予算の目安はどのくらいですか?

A. ノベルティの予算は、目的・数量・品質によって大きく変わりますが、一般的な目安は以下の通りです:

  • 認知度向上目的(大量配布):単価100~500円程度
  • 関係性強化目的(既存顧客向け):単価500~2,000円程度
  • プレミアムノベルティ(VIP向け):単価2,000円以上

重要なのは、予算内で最大限の品質を実現することです。安価でも素材やデザインにこだわることで、ブランド価値を損なわないノベルティが制作可能です。最小ロット数も考慮し、総予算を検討することをおすすめします。

Q2. どんなアイテムがノベルティとして人気ですか?

A. 人気のノベルティアイテムは、実用性とデザイン性を兼ね備えたものです:

定番人気アイテム

  • エコバッグ(環境意識の高まりで需要増)
  • ステーショナリー(ペン、ノート、付箋)
  • モバイル関連(スマホスタンド、モバイルバッテリー)
  • タンブラー・マグカップ

最近のトレンド

  • サステナブル素材のアイテム
  • 在宅ワーク関連グッズ
  • 抗菌・衛生グッズ

ターゲットのライフスタイルに合わせて選ぶことが最も重要です。

Q3. ノベルティの効果測定はどのように行えばよいですか?

A. ノベルティの効果測定は、以下の方法で実施できます:

定量的な測定方法

  • 配布後の問い合わせ数・売上の変化
  • SNSでの言及数・ハッシュタグの使用数
  • QRコード経由のアクセス数(デジタル連携の場合)
  • リピート購買率の変化

定性的な測定方法

  • アンケートによる満足度調査
  • SNSでの反応・コメント内容の分析
  • 営業担当へのフィードバック収集

効果測定は配布前に計画を立て、継続的に実施することが重要です。

Q4. 小ロットでも質の高いノベルティは作れますか?

A. 小ロットでも工夫次第で質の高いノベルティ制作は可能です:

小ロット対応の方法

  • オンデマンド印刷の活用(デジタル印刷技術の進化で品質向上)
  • 既製品へのカスタマイズ(名入れ、箔押しなど)
  • 地域の職人との協業(手作り感が付加価値に)
  • 3Dプリンターの活用(試作や特別感の演出)

品質を保つポイント

  • 素材にこだわる(少量でも良い素材を選ぶ)
  • パッケージングで差別化(高級感の演出)
  • 限定感をストーリーに変える(希少性が価値に)

弊社では、小ロットでもブランド価値を最大化する提案を行っています。

Q5. ブランドコンセプトが抽象的な場合、どうノベルティに落とし込めばよいですか?

A. 抽象的なコンセプトをノベルティに具現化するには、段階的なアプローチが有効です:

具現化のプロセス

  • キーワード抽出:コンセプトから連想される具体的な要素を洗い出す
  • 視覚化:色、形、質感などデザイン要素に変換
  • 体験設計:使用シーンでどんな感情を呼び起こすか想定
  • 素材選定:コンセプトに合った素材・加工方法を選択

実例
弊社が手掛けたTHE TOBACCO様では、「タバコは文化である」という抽象的なコンセプトを、洗練された素材感と職人的なディテールで表現。文化的な深みを物理的な質感に変換しました。

プロのデザイナーと協働することで、抽象的な価値を具体的な形に昇華できます。

Q6. 競合他社と差別化できるノベルティを作るには?

A. 差別化のポイントは「ブランドならでは」の要素を見つけることです:

差別化の切り口

  • 機能での差別化:他社にない便利機能や使い方の提案
  • ストーリーでの差別化:制作背景や素材の由来を物語に
  • 体験での差別化:受け取り方や使用時の演出にこだわる
  • コラボレーションでの差別化:アーティストや他ブランドとの協業

実践的なアプローチ

  • 競合分析を徹底的に行い、未開拓の領域を探る
  • ターゲットの潜在ニーズを深掘りする
  • ブランドの独自資産(歴史、技術、理念)を活用する
  • トレンドを取り入れつつ、ブランドらしさを保つ

単なる「違い」ではなく、ターゲットにとって「意味のある違い」を生み出すことが重要です。

加藤 廉太郎

加藤 廉太郎

プロダクションマネージャー

映像会社を経て、ザ・カンパニーに入社。ウェブ、グラフィック、映像、アプリなどのクリエイティブ制作進行を担当。

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