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2024/08/23
効果的なタグライン開発:ブランドメッセージ戦略の全貌

 

 

「自社の価値を正しく伝えられていない」と感じていませんか?

実は、多くの日本企業がブランドメッセージの構築で苦戦しています。競合他社との差別化が難しく、価格競争に陥りがちな現代のビジネス環境において、この課題は企業の死活問題となっています。

でもなぜだろう、同じような商品・サービスなのに、選ばれる企業と選ばれない企業の差は何でしょうか。その答えの一つが、強力なブランドメッセージとタグラインの存在です。これらは企業の「選ばれる理由」を明確にし、顧客との深い信頼関係を構築する基盤となるからです。

本記事では、株式会社ザ・カンパニーが実際に手掛けた成功事例を交えながら、効果的なブランドメッセージとタグラインの作り方を、5つの実践的ステップでご紹介します。明日から使える具体的なノウハウを、ぜひ最後までご覧ください。

 

関連Works

 

事例紹介

ザ・カンパニーの実績:帝人フロンティア「SOLOTEX®」認知度5倍の軌跡

弊社が手掛けた帝人フロンティア株式会社様の「SOLOTEX®」プロジェクトでは、B to B向け機能素材をB to C市場へ展開するという難易度の高いブランディングに挑戦しました。

7つの機能を持つ革新的な素材でありながら、一般消費者にはその価値が伝わりにくいという課題がありました。そこで私たちは、徹底的な対話を通じて素材の本質的価値を発掘し、「着る人の日常を、もっと自由に」というタグラインを開発。技術的な説明ではなく、生活者の体験価値にフォーカスしたメッセージ戦略を展開しました。

結果として、定量調査による認知度が5倍に向上し、アパレル市場への本格参入を成功させることができました。詳細は事例ページをご覧ください。

他社事例1:Apple「Think Different」の革新性

Appleの「Think Different」は、単なる製品の優位性ではなく、ブランドの哲学を表現したタグラインの代表例です。1997年の発表当時、このメッセージは世界中のクリエイターの心を掴みました。

分析すると、このタグラインの成功要因は3つあります。第一に、製品ではなく「価値観」を訴求したこと。第二に、ターゲット層の自己実現欲求に響いたこと。第三に、短くシンプルで記憶に残る表現だったことです。

他社事例2:Nike「Just Do It」の普遍性

Nikeの「Just Do It」は30年以上使われ続けている、まさに不朽のタグラインです。このメッセージが長期間機能し続ける理由は、特定の製品や時代に依存しない普遍的な価値を表現しているからです。

「行動を起こす勇気」という人間の根源的な欲求に訴えかけることで、スポーツの枠を超えて、あらゆる挑戦を応援するブランドとしての地位を確立しました。

他社事例3:無印良品「これでいい」から「これがいい」への進化

無印良品のブランドメッセージの変遷は、日本企業のブランディング成功例として特筆すべきものです。当初の「これでいい」という妥協的なメッセージから、「これがいい」という積極的な選択へと進化させることで、ブランドの立ち位置を大きく変えました。

この変化により、単なる低価格商品から「シンプルで上質なライフスタイル」を提案するブランドへと成長。グローバル市場でも高い評価を得ています。

実践的ノウハウ

ステップ1:本質的価値の発掘(徹底的な対話による探求)

効果的なブランドメッセージ作りの第一歩は、企業やサービスの「本質的な価値」を見出すことです。弊社では、他のどの会社よりも「対話」に重きを置いています。

実践方法:

  1. 経営層、従業員、顧客それぞれへの深層インタビューを実施
  2. 「なぜこの事業を始めたのか」という原点に立ち返る
  3. 競合分析ではなく、自社の独自性に焦点を当てる

よくある失敗と回避方法: 多くの企業が「高品質」「顧客第一」といった汎用的な価値に陥りがちです。これを避けるには、具体的なエピソードや数値データから独自性を抽出することが重要です。

例えば、弊社が手掛けたTHE TOBACCO様のプロジェクトでは、「喫煙所なのに」という逆説的な視点から、「タバコは文化である」という独自の世界観を構築。「日本一心地いい喫煙所」というコンセプトで、他とは一線を画すブランディングを実現しました。

ステップ2:ターゲット顧客の明確化(ペルソナを超えた理解)

ブランドメッセージが響く相手を特定することは、メッセージの精度を高める上で不可欠です。単なるデモグラフィック情報ではなく、価値観やライフスタイル、潜在的な欲求まで深く理解する必要があります。

実践方法:

  1. 定量調査と定性調査を組み合わせた多角的分析
  2. カスタマージャーニーマップの作成
  3. 顧客の「言葉にならない想い」を可視化

成果測定方法:

  • ブランド認知度調査(月次または四半期)
  • NPS(Net Promoter Score)の定期測定
  • ソーシャルリスニングによる感情分析

ちなみに、ターゲットを明確化することで、メッセージの訴求力は格段に向上します。

ステップ3:タグライン開発(記憶に残る言葉の技術)

タグラインは、ブランドの本質を凝縮した「究極の一文」です。短く、覚えやすく、かつブランドの独自性を表現する必要があります。

実践方法:

  1. ブランドの本質を表す100個のキーワードをリストアップ
  2. それらを組み合わせて50個のタグライン案を作成
  3. 社内外でのテストを繰り返し、最適な1つに絞り込む

タグライン評価の5つの基準:

  • 簡潔性:7語以内が理想(日本語では15文字以内)
  • 独自性:他社では使えない表現か
  • 永続性:10年後も使える普遍性があるか
  • 感情訴求:理性だけでなく感情に響くか
  • 行動喚起:次のアクションを促すか

弊社がジャパンホームシールド株式会社様の30周年記念で開発したタグラインでは、企業の歴史と未来への展望を融合させ、社内外に向けた統一メッセージとして機能させることに成功しました。

ステップ4:統合的な展開戦略(タッチポイント設計)

優れたブランドメッセージも、適切に展開されなければ効果を発揮しません。あらゆる顧客接点で一貫したメッセージを発信する必要があります。

主要タッチポイントと展開方法:

  1. Webサイト:ファーストビューでの訴求
  2. SNS:プラットフォームごとの最適化
  3. 広告:ビジュアルとの相乗効果
  4. 社内浸透:従業員への教育プログラム

実は、一貫性のあるメッセージ展開こそが、ブランド価値向上の鍵となります。弊社のSync Tankシステムでは、市場環境や競合動向の変化をリアルタイムで捉え、ブランドメッセージの効果を継続的に最適化します。

ステップ5:効果測定と改善(PDCAサイクルの確立)

ブランドメッセージの効果は、定量的・定性的両面から評価する必要があります。

KPI設定例:

  • ブランド想起率:目標20%向上(6ヶ月)
  • サイト滞在時間:平均2分→3分へ
  • コンバージョン率:1.5%→2.5%へ
  • 従業員エンゲージメントスコア:70→85へ

今すぐ始めるべき3つのアクション

ブランドメッセージとタグラインの成功には、以下の3つのポイントが不可欠です。

  • 本質的価値の発掘:表面的な特徴ではなく、企業の存在意義を明確にする
  • 一貫性のある展開:全てのタッチポイントで統一されたメッセージを発信する
  • 継続的な最適化:市場の変化に応じて、メッセージを進化させ続ける

これらを実践することで、貴社のブランド価値を大きく向上させることができます。

本質的な魅力を引き出すブランディングで、貴社の「あるべき姿」を実現するお手伝いをさせていただければ幸いです。

 

ブランドメッセージとタグラインFAQ

ブランドメッセージとタグラインに関するよくある質問

Q1. ブランドメッセージとタグラインの違いは何ですか?

A. ブランドメッセージは企業の理念や価値観を包括的に表現するものです。一方、タグラインはそのエッセンスを凝縮した短いフレーズ(通常7語以内)です。例えば、Nikeのブランドメッセージは「スポーツを通じて人々の可能性を引き出す」という理念ですが、タグラインは「Just Do It」という3語に集約されています。両者は補完関係にあり、一体となってブランドの価値を伝えます。

Q2. タグライン開発にかかる期間と費用の目安は?

A. 期間は通常2〜3ヶ月程度です。リサーチ・分析に1ヶ月、開発・テストに1ヶ月、最終調整に2〜4週間が標準的なスケジュールです。費用は規模により異なりますが、中小企業で100〜300万円、大企業で500万円以上が相場です。ただし、社内でワークショップを実施すれば費用を抑えることも可能です。投資対効果を考えると、ブランド認知度向上による売上増加で十分に回収できる投資といえます。

Q3. 既存のブランドメッセージを変更するリスクはありますか?

A. 確かにリスクは存在しますが、適切なプロセスを踏めば最小化できます。重要なのは、変更の理由を明確にし、段階的に移行することです。まず社内での浸透を図り、次に主要顧客へ説明し、最後に市場全体へ展開します。無印良品の「これでいい」から「これがいい」への変更のように、ブランドの本質を保ちながら進化させることで、むしろブランド価値を高めることができます。

Q4. B2B企業でもタグラインは必要ですか?

A. B2B企業こそタグラインが重要です。複雑な技術や専門的なサービスを、シンプルに価値を伝える必要があるからです。例えば、弊社が手掛けた帝人フロンティア様の「SOLOTEX®」では、7つの機能を持つ素材の価値を一言で表現することで、B2C市場への展開に成功し、認知度を5倍に向上させました。決裁者の記憶に残るタグラインは、商談の成功率を大きく左右します。

Q5. タグラインの効果はどのように測定すればよいですか?

A. 定量的指標と定性的指標の両面から測定します。定量的には、ブランド想起率(第一想起・純粋想起)、検索ボリューム、SNSでの言及数、Webサイトの滞在時間などを追跡します。定性的には、顧客インタビューやNPS調査で、ブランドに対する印象の変化を把握します。弊社のSync Tankシステムでは、これらの指標をリアルタイムで可視化し、継続的な改善につなげています。

Q6. AIツールを使ったタグライン開発は効果的ですか?

A. AIツールは初期アイデア出しには有効ですが、最終的には人間の感性が不可欠です。ChatGPTなどの生成AIを使って100個以上の案を短時間で生成し、その中から人間が選別・改良するハイブリッドアプローチが効果的です。ただし、AIが生成した案は汎用的になりがちなので、企業の独自性を反映させるには、徹底的な対話と深い理解に基づく人間のクリエイティビティが必要です。弊社では、AIと人間の強みを組み合わせた独自の開発プロセスを採用しています。

 

橘 啓介

橘 啓介

代表取締役  クリエイティブディレクター

1980年生まれ、東京都出身。2009年にザ・カンパニーを創業。 好きな食べ物:もずく 好きな果物:スイカと梨 好きな薬味:ミョウガとすだち ハマっている漫画:望郷太郎

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