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2024/07/05
なぜある企業には人材が集まるのか?採用ブランディングが生む3つの差

 

 

採用戦略の転換点に立つ企業たち

「優秀な人材が集まらない」「採用コストが増大している」「せっかく採用してもすぐ離職してしまう」

実は、こうした採用課題で悩んでいませんか?

経済産業省の調査によると、2030年にはIT人材だけで約79万人が不足すると予測されています。さらに、リクルートワークス研究所の最新データでは、従業員300人未満の企業の求人倍率は6.19倍。つまり、1人の求職者を6社以上が奪い合う状況が続いているのです。 (出典:経済産業省「IT人材需給に関する調査」2019年、リクルートワークス研究所「第41回 ワークス大卒求人倍率調査」2024年)

でもなぜ、同じような条件を提示しているのに、ある企業には人材が集まり、ある企業には集まらないのでしょうか?

その答えが「採用ブランディング」にあります。本記事では、新卒採用応募数を前年比240%増という驚異的な成果を達成した事例とともに、採用ブランディングが生む3つの差を徹底解説します。

 

 

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事例紹介:採用ブランディングで変わった企業たち

ザ・カンパニーが手掛けた株式会社いつも様の成功事例

課題:急成長企業の知名度不足

株式会社いつも様は、ECコンサルティング業界で急成長を遂げている企業です。しかし、大手企業と比較して知名度で劣り、優秀な学生へのアプローチに苦戦していました。

実は、多くの成長企業が同じ悩みを抱えています。事業は順調に拡大しているのに、それを支える人材が確保できない―このギャップをどう埋めるか?

解決策:包括的採用コミュニケーション設計

弊社ザ・カンパニーは、以下の包括的なアプローチを実施しました:

【フェーズ1:企業理解の深化】

  • インターンシップ告知サイトの制作
  • ドキュメントムービーによる企業文化の可視化
  • 社員の生の声を伝えるインタビュームービー

【フェーズ2:体験価値の創出】

  • インターンシッププログラムの設計
  • 参加者の体験を記録したコンテンツ制作
  • SNSでのリアルタイム情報発信

【フェーズ3:継続的な関係構築】

  • 新卒採用サイトへの統合
  • 一貫したメッセージングの展開
  • タッチポイントごとの最適化

成果:応募数240%増を実現

この包括的な採用ブランディングにより、以下の成果を達成しました:

  • 新卒採用応募数が前年比240%増
  • インターンシップ参加者の満足度向上
  • 内定承諾率の大幅改善
  • 採用単価の削減

特筆すべきは、表層的なアピールではなく、実態に即した深い企業理解を促進したことです。学生たちは企業の本質的な魅力を理解し、共感を持って応募してくれるようになりました。

他社事例から見る採用ブランディングの効果

事例1:IT企業A社のエンジニア採用革命

従業員500名のIT企業A社は、エンジニア採用で苦戦していました。LinkedInの調査によると、IT企業の73%が「技術者採用が最大の課題」と回答しています。 (出典:LinkedIn “Global Talent Trends” 2024)

A社は技術ブログの運営、オープンソースへの貢献、技術カンファレンスへの登壇など、エンジニア文化を前面に出した採用ブランディングを展開。結果、エンジニアからの応募が前年比180%増加しました。

事例2:製造業B社の若手人材獲得戦略

ちなみに、製造業界も深刻な人材不足に直面しています。経済産業省のデータでは、製造業の人材不足感は過去10年で最高水準に達しています。 (出典:経済産業省「ものづくり白書」2023年)

B社は「ものづくりの未来を創る」というビジョンを掲げ、最新技術への投資や若手社員の活躍を積極的に発信。Z世代向けのコンテンツ制作により、新卒応募者の平均年齢が3歳若返りました。

事例3:小売業C社の離職率改善

小売業界の平均離職率は15.2%と高水準です。 (出典:厚生労働省「雇用動向調査」2023年)

C社は採用段階から企業文化や成長機会を明確に伝える採用ブランディングを実施。入社後のギャップを最小化した結果、新入社員の1年以内離職率が5%まで低下しました。

実践的ノウハウ:採用ブランディングが生む3つの差

差1:応募者の「質」の違い【認知から共感へ】

一般的な採用活動の限界

従来の採用活動では、給与や福利厚生といった条件面のアピールが中心でした。しかし、パーソル総合研究所の調査によると、Z世代の約7割が「働きがい」を重視し、給与以上に企業文化や社会貢献性を重要視しています。 (出典:パーソル総合研究所「Z世代の就業意識調査」2023年)

採用ブランディングがもたらす変化

採用ブランディングを実施すると、以下の変化が起きます:

□ 応募者プロファイルの向上

  • [ ] 企業理念への共感度が高い
  • [ ] 事業内容を深く理解している
  • [ ] 長期的なキャリアビジョンを持っている
  • [ ] 自発的な情報収集をしている

□ 選考プロセスの効率化

  • [ ] ミスマッチによる辞退が減少
  • [ ] 面接での対話が深まる
  • [ ] 内定承諾率が向上
  • [ ] 入社後の定着率が改善

実は、質の高い応募者は自ら企業を研究し、共感できる企業を選んでいます。採用ブランディングは、そうした優秀層にリーチする最も効果的な手段なのです。

自社価値の3軸分析フレームワーク

でもなぜ、多くの企業が自社の魅力を伝えきれないのでしょうか?それは体系的な整理ができていないからです。

【企業軸】ビジョンと文化

  • ビジョン・ミッションの明文化
  • 企業文化を3つの言葉で表現
  • 10年後の成長イメージ
  • 社会への貢献価値

【仕事軸】成長とやりがい

  • 具体的な仕事内容と裁量
  • 3年後のキャリアパス
  • 習得できるスキルセット
  • プロジェクトの社会的意義

【環境軸】働きやすさ

  • チームの雰囲気と関係性
  • 働き方の柔軟性(数値化)
  • オフィス環境の特徴
  • 独自の福利厚生制度

差2:採用コストの違い【投資から資産へ】

従来型採用のコスト構造

マイナビの調査によると、新卒採用1人あたりの平均コストは93.6万円に達しています。 (出典:マイナビ「2024年卒企業新卒採用活動調査」)

このコストの内訳は:

  • 求人広告費:40-50%
  • 人材紹介料:20-30%
  • イベント参加費:15-20%
  • その他運営費:10-15%

採用ブランディングによるコスト削減効果

LinkedInの調査では、強力な採用ブランドを持つ企業は採用コストを最大50%削減できるとされています。(出典:LinkedIn “Global Recruiting Trends” 2023)

□ 短期的効果(6ヶ月〜1年)

  • [ ] 求人広告費の削減(自然流入の増加)
  • [ ] 人材紹介依存度の低下
  • [ ] 選考プロセスの効率化
  • [ ] 内定辞退率の改善

□ 長期的効果(1年以上)

  • [ ] リファラル採用の増加
  • [ ] 採用単価の大幅削減
  • [ ] 採用チームの生産性向上
  • [ ] ブランド資産の蓄積

ちなみに、採用ブランディングへの投資は「コスト」ではなく「資産形成」として捉えるべきです。一度構築したブランド価値は、継続的に効果を発揮し続けます。

ROI測定の具体的手法

採用ブランディングの投資対効果を測定するには:

  1. ベースライン設定
    • 現在の採用単価を算出
    • 応募者数と質を記録
    • 内定承諾率を把握
  2. 施策実施後の追跡
    • 月次でKPIを測定
    • 前年同期比で比較
    • 定性的な変化も記録
  3. ROI計算
    • (削減コスト+質的向上の価値)÷投資額
    • 一般的に1-2年でプラス転換

差3:組織力の違い【採用から定着へ】

従業員エンゲージメントへの波及効果

実は、採用ブランディングの最大の効果は社内にあります。ギャラップ社の調査では、自社のビジョンを明確に理解している従業員は、そうでない従業員と比べて生産性が17%高いことが示されています。 (出典:Gallup “State of the Global Workplace” 2023)

採用ブランディングが組織に与えるインパクト

□ 既存社員への影響

  • [ ] 自社への誇りが向上
  • [ ] 採用活動への協力意識が高まる
  • [ ] リファラル採用が活性化
  • [ ] 社内コミュニケーションが改善

□ 新入社員への影響

  • [ ] 入社前の期待値が適正化
  • [ ] 早期立ち上がりが実現
  • [ ] 定着率が大幅改善
  • [ ] パフォーマンスが向上

定着率改善の実例

厚生労働省のデータによると、大卒新入社員の3年以内離職率は32.3%です。 (出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」2023年)

しかし、採用ブランディングを実施した企業では:

  • 1年以内離職率:5%以下(業界平均11.6%)
  • 3年以内離職率:15%以下(業界平均32.3%)

この差は、入社前の期待値と現実のギャップが最小化されることで生まれます。

実装編:明日から始める採用ブランディング

ステップ1:採用サイト制作の必須要素

Googleの調査では、求職者の94%が採用サイトを必ずチェックすることが分かっています。 (出典:Google “The Candidate Journey Research” 2022)

効果的な採用サイトの構成:

□ ファーストビュー(3秒で心を掴む)

  • [ ] キャッチコピーは15文字以内
  • [ ] ビジュアルは実際の社員を起用
  • [ ] 応募ボタンは常に視界に
  • [ ] ローディング時間は2秒以内

□ コンテンツ設計(5分以上滞在を目指す)

  • [ ] 社員インタビュー5名以上
  • [ ] 1日の仕事の流れを可視化
  • [ ] 成長ストーリーを3パターン
  • [ ] 数字で見る会社情報

□ 導線設計(離脱を防ぐ)

  • [ ] 関連コンテンツへの誘導
  • [ ] エントリーフォームへの動線
  • [ ] SNSへのリンク設置
  • [ ] 動画コンテンツの埋め込み

関連記事:採用サイト制作の詳細はこちら

ステップ2:SNS活用の実践テクニック

パーソル総合研究所によると、Z世代の82%がSNSで企業情報を収集しています。 (出典:パーソル総合研究所「Z世代の就業意識調査」2023年)

プラットフォーム別の活用法:

Instagram(週3-4回投稿)

  • オフィスの日常風景
  • 社員の1日密着
  • 社内イベントのハイライト
  • ストーリーズでQ&A

X/Twitter(毎日1-2回投稿)

  • 採用情報の速報
  • 社員のリアルな声
  • 業界ニュースへのコメント
  • ハッシュタグ活用

LinkedIn(週1-2回投稿)

  • 経営層のメッセージ
  • 事業成果の共有
  • 専門的な知見
  • 採用イベント告知

YouTube(月2-3本投稿)

  • 社員インタビュー(2-3分)
  • オフィスツアー
  • 仕事密着ドキュメント
  • 会社説明会アーカイブ

ステップ3:効果測定とPDCAサイクル

測定すべきKPI一覧

□ 認知度指標(毎週測定)

  • [ ] 採用サイトPV数
  • [ ] SNSフォロワー増加数
  • [ ] ブランド名検索数
  • [ ] メディア露出回数

□ 興味関心指標(毎月測定)

  • [ ] 平均滞在時間(目標3分以上)
  • [ ] 動画視聴完了率(目標50%以上)
  • [ ] エントリーフォーム到達率
  • [ ] SNSエンゲージメント率

□ 行動指標(四半期測定)

  • [ ] 応募者数(前年同期比)
  • [ ] 書類通過率
  • [ ] 内定承諾率
  • [ ] 採用単価

実は、多くの企業が測定だけして改善アクションを起こしていません。PDCAのActionまで確実に実行することが成功の鍵です。

まとめと次のアクション:採用ブランディングで組織の未来を創る

本記事の3つのポイント

  1. 採用ブランディングは3つの差を生む
    • 応募者の「質」の向上(共感度の高い人材獲得)
    • 採用コストの削減(最大50%削減可能)
    • 組織力の強化(定着率・生産性の向上)
  2. 成功には体系的アプローチが必須
    • 自社価値の3軸分析から始める
    • 多様なタッチポイントで一貫したメッセージ発信
    • KPIに基づく継続的な改善
  3. 投資対効果は1-2年で実現
    • 短期的にも応募数・質の向上
    • 長期的にはブランド資産として蓄積
    • 組織全体への波及効果

今すぐ始められる3つのアクション

□ 今週中に実施

  • 自社の魅力を3軸で整理する
  • 競合5社の採用サイトを分析する
  • 社員3名にインタビューする

□ 今月中に実施

  • SNSアカウントを開設する
  • 採用サイトの改善点をリストアップ
  • 採用KPIのベースラインを設定

□ 3ヶ月以内に実施

  • 採用動画を1本制作する
  • 採用サイトをリニューアルする
  • PDCAサイクルを1回転させる

ザ・カンパニーがお手伝いできること

弊社ザ・カンパニーは、徹底的な対話による本質の探求から、戦略設計、クリエイティブ制作、運用支援まで、採用ブランディングを包括的にサポートしています。

株式会社いつも様のように、応募数240%増という成果も夢ではありません。

採用ブランディングのご相談はお問い合わせフォームから

 

 

採用ブランディングFAQ

よくある質問(FAQ)

Q1. 採用ブランディングの効果が出るまでどのくらいかかりますか?

A. 採用ブランディングの効果は、短期的には3-6ヶ月で現れ始めますが、本格的な成果を得るには最低1年、理想的には2年程度の継続的な取り組みが必要です。弊社が支援した株式会社いつも様では、1年間の包括的な施策により新卒採用応募数240%増を達成しました。重要なのは、短期的な成果を求めすぎず、中長期的な視点で戦略を実行することです。

Q2. 採用ブランディングにはどのくらいの予算が必要ですか?

A. 採用ブランディングの予算は企業規模や目標により大きく異なります。初期段階では採用サイト制作やコンテンツ開発などの基本施策から始め、段階的に投資を拡大していく方法が効果的です。LinkedInの調査によると、強力な採用ブランドを持つ企業は採用コストを最大50%削減できるため、中長期的には投資対効果が高い施策となります。まずは採用課題の分析から始め、最適な予算配分を検討することをお勧めします。

Q3. 中小企業でも採用ブランディングは効果的ですか?

A. むしろ中小企業こそ採用ブランディングが効果的です。大企業と比べて知名度で劣る中小企業は、採用ブランディングによって独自の魅力を明確に打ち出すことができます。企業規模は小さくても、働く環境の良さ、成長機会の豊富さ、経営層との距離の近さなど、大企業にはない魅力を戦略的に発信することで、優秀な人材を獲得できます。

Q4. 社内にリソースがない場合、どう進めればよいですか?

A. 社内リソースが限られている場合は、外部パートナーとの協業が効果的です。弊社のような専門会社は、企業の本質的な価値の発見から、戦略設計、クリエイティブ制作、運用支援まで包括的にサポートします。初期は外部の専門性を活用しながら、徐々に社内にノウハウを蓄積していくことで、持続可能な採用ブランディング体制を構築できます。

Q5. 採用ブランディングの効果はどう測定すればよいですか?

A. 採用ブランディングの効果測定には、定量・定性両面からのアプローチが必要です。定量指標としては、応募者数、採用単価、内定承諾率、採用サイトのPV数、SNSエンゲージメント率などを追跡します。定性面では、応募者の質、企業理解度、従業員満足度などを評価します。これらの指標を定期的に分析し、PDCAサイクルを回すことで、施策の改善につなげていきます。

Q6. 採用ブランディングとリクルーティングの違いは何ですか?

A. リクルーティングが「今すぐ必要な人材を採用する」短期的な活動であるのに対し、採用ブランディングは「将来の人材プールを構築する」長期的な戦略です。リクルーティングは求人広告や人材紹介などの直接的な採用活動ですが、採用ブランディングは企業の魅力を継続的に発信し、潜在的な候補者との関係を構築します。両者を組み合わせることで、効果的な人材獲得が可能になります。

本行 充明

本行 充明

取締役 プロデューサー

2016年よりプロデューサーとして課題解決型のブランディング施策を多数手掛ける。手法にとらわれないコミュニケーション設計を得意とする。

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