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2024/10/02
選ばれる医療機関になるための医療ブランディング実践ガイド

 

 

医療・ヘルスケア業界において、ブランディングは患者との信頼関係を構築する最重要戦略です。

厚生労働省の「令和5年受療行動調査」によると、外来患者の68.4%が「家族・知人・友人の口コミ」から医療機関情報を入手する一方、インターネットでの情報収集も急増し、特に15-39歳では43.3%がネット情報を活用しています(出典:厚生労働省 令和5年受療行動調査)。

10年前、20年前とは大きく変わった患者の医療機関選び。
この変化の中で「選ばれ続ける医療機関」になるために、
ブランディングという戦略が不可欠になっています。

しかし、「医療ブランディングって本当に必要なの?」「何から始めればいいの?」「既存の診療体制とどう両立すればいい?」と悩まれている医療従事者の方も多いのではないでしょうか。

この記事では、医療ブランディングの基礎知識から制作のポイント、The Companyの制作実績まで、医療ブランディングに関する情報をわかりやすくご紹介します。


こんなお悩みありませんか?

  • 患者が増えず、Webサイトからの問い合わせも少ない
  • 他院との違いが伝わらず、価格競争に巻き込まれている
  • スタッフの離職率が高く、理念が浸透していない
  • 開業・リニューアルしたのに、思ったような成果が出ない

こうした悩みを解決するために、まずは医療ブランディングの基礎知識から、制作プロセス、活用方法まで、順を追って解説していきます。


なぜ今、医療ブランディングが必要なのか?

医療を取り巻く環境が大きく変化している

10年前、20年前の医療機関選び:

  • 近所の医療機関に通う
  • 家族の紹介で決める
  • 選択肢が限られている

今の医療機関選び:

  • インターネットで複数の医療機関を比較
  • 口コミサイトで評判をチェック
  • 専門性や診療方針で選ぶ
  • オンライン診療も選択肢に

厚生労働省「令和5年受療行動調査」によると、15-39歳の43.3%がインターネットで医療機関情報を収集しており、この数字は年々増加しています(出典:厚生労働省 令和5年受療行動調査)。

つまり、患者は「選べる時代」になった

選択肢が増えたということは、「選ばれない医療機関」も出てくるということです。

医療は「見えない価値」だからこそ難しい

医療・ヘルスケア業界のブランディングには、他業界にはない特殊性があります。

1. サービスを事前に体験できない

飲食店なら「一度試す」、製品なら「サンプルを使う」ことができますが、医療は事前に品質を確かめられません。初診の時点で、患者は「この判断が正しいか」わからないまま選択します。

2. 価格競争ができない

保険診療では価格が統一されており、差別化の手段として価格を使えません。競争力は「信頼」「専門性」「患者体験」といった無形の価値で決まります。

3. 患者の不安や恐怖が受診の障壁になる

一般的な商品・サービスは「欲しい」という欲求が購買を促しますが、医療は「痛い」「怖い」「恥ずかしい」といった負の感情が受診の障壁になります。

4. 意思決定者と利用者が異なることがある

小児科では親が選び、高齢者医療では子どもが選ぶことが多く、「誰に何を伝えるか」の設計が複雑になります。

だから、医療ブランディングが必要

これらの理由から、医療機関には**「見えない価値」を可視化し、患者が安心して選べる状態をつくること**が求められています。

  • 専門性や診療方針を明確に伝える
  • 「この医療機関なら安心」という信頼を事前に構築する
  • 患者の不安を軽減し、受診のハードルを下げる
  • 口コミや紹介が自然に生まれる体験を設計する

これらを実現するのが、医療ブランディングです。

ブランディングは「見た目をきれいにすること」ではありません。
患者から選ばれ、信頼され、長く通ってもらえる医療機関になるための戦略なのです。


医療ブランディングが医療機関にもたらす4つの戦略的効果

01 患者との信頼関係を構築し、新規患者獲得と紹介率を向上

医療サービスは事前に品質を確かめられません。だからこそ、専門性、診療方針、スタッフの質といった「見えない価値」をブランディングで可視化することが重要です。

厚生労働省の調査によると、外来患者の68.4%が口コミから医療機関を選んでいます。一貫したブランド体験を提供することで、自然な口コミが生まれ、紹介患者が増加します。

Webサイト、院内空間、スタッフ対応など、すべての接点で「この医療機関なら安心」というメッセージを発信することで、初診時の不安を軽減し、受診のハードルを下げることができます。

02 インナーブランディングでスタッフの定着率と医療の質を向上

医療機関の理念や診療方針がスタッフ全員に浸透していると、患者対応の質が向上し、チーム全体の一体感が生まれます。

ブランディングを通じて「なぜこの医療をするのか」「どんな患者体験を提供したいか」を明確化することで、スタッフのモチベーションが高まり、離職率の低下につながります。

特に、看護師や受付スタッフが理念を理解し体現することで、患者満足度が大きく向上します。

03 デジタル時代の患者獲得でWeb経由の問い合わせを増加

15-39歳の43.3%がインターネットで医療機関情報を収集しています(出典:厚生労働省 令和5年受療行動調査)。特に若年層や子育て世代へのリーチには、Webサイトの充実が不可欠です。

「頭痛 原因」「めまい 病院」といった検索に対応するコンテンツを準備し、患者の不安に寄り添う情報提供をすることで、Web経由の問い合わせが増加します。

予約システムの最適化、スマートフォン対応、SEO対策により、患者が「見つけやすく、予約しやすい」環境を整えます。

04 地域での認知度向上で競合との差別化を実現

医療は保険診療で価格が統一されているため、差別化の手段は「信頼」「専門性」「患者体験」といった無形の価値です。

ブランディングによって医療機関の専門性や診療方針を明確化することで、「〇〇といえばこの医療機関」という地域でのポジションを確立できます。

診療科や専門領域での差別化、ライフステージ別のアプローチなど、戦略的なブランディングが競争力を高めます。

これら4つの効果が組み合わさることで、医療機関の競争力とブランド価値を高めます。
医療ブランディングは単なるデザインではなく、医療機関の未来をつくる戦略ツールです。


The Companyの医療ブランディングの強み

Point 01 医療・ヘルスケア業界での豊富な実績

The Companyは、テルモ株式会社、ジョンソン エンド ジョンソン、聖マリアンナ医科大学病院、慶應義塾大学医学部、ラソワレディースクリニック、フレイアクリニックなど、医療・ヘルスケア業界のブランディングを数多く手がけてきました。

医療特有の規制や配慮すべき点を理解しながら、患者視点に立ったブランディングを得意としています。それぞれの医療機関の個性や専門性を深く理解し、「その医療機関らしさ」を視覚的に表現するデザインを提供します。

Point 02 見えない価値を可視化するデザイン力

医療サービスの「専門性」「信頼性」「安心感」といった無形の価値を、ロゴ、カラー、空間設計、Webサイトなどで可視化します。

色彩心理学を活用した戦略的な配色設計、エビデンスベースドデザインによる空間設計など、患者の心理に働きかけるデザインを提供します。

Point 03 対話を重視した制作プロセス

医療ブランディングでは、院長の想い、医療スタッフの考え、そして患者の声、すべてを統合することが重要です。

The Companyでは、「徹底した対話」を重視し、医療機関の文化、歴史、今後のビジョンを深く理解した上で制作を進めます。

「なぜこの医療をするのか」「患者にどんな体験を提供したいか」「どんな医療機関になりたいか」——それぞれの「なぜ」に向き合い、掘り下げることで、想いを整理。貴院のストーリーをデザインに落とし込むことで、説得力のある、貴院ならではのブランディングをお作りいたします。

Point 04 トータルなブランディング支援

ロゴ制作だけでなく、Webサイト、パンフレット、診察券、名刺、院内サイン、予約システムの選定まで、患者接点のすべてをトータルでサポートします。

オンライン診療の導入支援、コンテンツマーケティング戦略、継続的なブランド診断(SyncTank)など、デジタル時代の医療ブランディングに必要な施策を包括的に提供します。


医療ブランディング制作事例

01 ラソワレディースクリニック

プロジェクト概要

女性特有の繊細な悩みに寄り添うレディースクリニックのトータルブランディング。ネーミング開発、ロゴマーク、Webサイト、名刺まで、すべての接点で統一したブランド体験を提供。

ご依頼背景

新規開業にあたり、「女性が安心して相談できるクリニック」というコンセプトを、デザインで体現したいというご要望。競合クリニックとの差別化と、患者が予約しやすいWebサイトの構築が課題でした。

クリエイティブ戦略

「絹」(フランス語でラソワ)というコンセプトを軸に、女性の繊細な悩みに寄り添うブランドイメージを構築。やさしく余裕のあるトーンで設計し、余計な情報を排除することで、利用者が必要な情報にスムーズにたどり着ける設計を実現しました。予約システムの選定・設定も弊社で担当し、使いやすさを徹底追求しました。

担当クリエイティブ: Logo / Naming / Web / Business card


02 聖マリアンナ医科大学病院メディカルサポートセンター

プロジェクト概要

大学病院の地域医療連携部門のロゴデザイン。地域の医療機関との連携を強化し、患者をスムーズに紹介できる体制づくりをサポート。

クリエイティブ戦略

信頼のブルーに希望のグリーンを組み合わせたロゴデザイン。医療機関同士をつなぐ「架け橋」としての役割を視覚的に表現しました。

担当クリエイティブ: Logo

 

 


医療ブランディング制作プロセス

01 ヒアリング:医療機関の歴史と想いを整理する

まず、ブランディングのきっかけや背景を丁寧にヒアリングし、プロジェクトの出発点から整理します。

なぜ医療ブランディングを行うのか、患者に何を伝えたいのかという目的・目標の設定を経て、ターゲット患者の選定、貴院ならではの強みを明確化します。

ヒアリング内容:

  • 院長・医療スタッフの想い
  • 診療方針と専門性
  • 既存患者の声(満足点・不満点)
  • 競合医療機関との違い
  • 今後のビジョン

期間: 2-3週間


02 コンセプト設計:医療機関が大切にしてきた想いと未来への方向性を明確にする

整理した情報をもとに、医療機関が歩んできた歴史の中で大切にしてきた価値観、そしてブランディングを機に改めて発信したいメッセージを明確化します。

実施内容:

  • 医療機関の存在意義(パーパス)の言語化
  • ターゲット患者ペルソナの詳細設定
  • ブランドメッセージ・タグラインの開発
  • ブランドの「らしさ」を表すキーワード抽出

期間: 3-4週間


03 デザイン開発:ブランドを可視化する

これまでの歴史と未来への想いを、ロゴ、カラー、フォント、ビジュアルで表現します。

既存の医療機関のイメージとの調和を保ちながら、患者が安心できるデザインを開発します。複数のデザイン案をご提案し、最適な表現を選定します。

実施内容:

  • ロゴマークのデザイン開発
  • カラーパレット、フォント体系の設定
  • 名刺、診察券などツール類のデザイン
  • サイン計画(院内表示)の設計

期間: 3-4週間


04 Webサイト・デジタル展開:患者との接点を最適化する

患者目線でのWebサイト設計、予約システムの導入、スマートフォン最適化、SEO対策まで、デジタル時代の患者獲得に必要な施策を実装します。

実施内容:

  • 患者目線でのWebサイト設計
  • 予約システムの選定・導入
  • スマートフォン最適化
  • SEO対策(地域名+診療科での検索対策)
  • 症状別コンテンツの制作

期間: 4-6週間


APPENDIX:医療ブランディングの効果的な活用をサポートします

完成したブランドデザインを、Webサイト、パンフレット、診察券、名刺、院内サイン、記念グッズなど、様々な接点で展開。使用ガイドラインの策定や、継続的なブランド診断(SyncTank)まで、トータルにサポートいたします。

制作期間の目安: 3-6ヶ月
予算の目安: 規模や範囲により変動。詳細はお問い合わせください


まとめ

医療・ヘルスケア業界におけるブランディングは、患者との信頼関係を基盤とした長期的な取り組みです。

本記事でご紹介した4つの戦略的効果と制作プロセスを通じて、「見えない価値」を可視化し、患者から選ばれる医療機関となることができます。専門性を保ちながら、患者視点に立った情報提供、安心感のある空間設計、利便性の高いデジタルサービスを統合的に提供することが成功の鍵です。

株式会社ザ・カンパニーは、「本質的な魅力を引き出すブランディング」を通じて、医療機関の真の価値を患者に伝えるお手伝いをしています。

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よくあるご質問

医療ブランディングFAQ

よくある質問(FAQ)

Q1. 医療ブランディングの費用はどのくらいですか?

A. 規模や内容によって異なりますが、ロゴ・Webサイト・院内サインなどを含むトータルブランディングの場合、100万円〜300万円程度が目安です。「まずはロゴだけ」「Webサイトのリニューアルのみ」など部分的なご依頼も可能ですので、ご予算に応じたプランをご提案いたします。まずはお気軽にご相談ください。

Q2. 制作期間はどのくらいかかりますか?

A. ロゴ制作のみであれば1〜2ヶ月程度、Webサイトを含むトータルブランディングの場合は3〜6ヶ月程度が目安です。開業に合わせたスケジュール調整も可能ですので、お早めにご相談いただくことをおすすめします。

Q3. 開業前(これから開業する)でも依頼できますか?

A. はい、むしろ開業前からのご相談をおすすめしています。コンセプト設計の段階からブランディングに取り組むことで、開業時には一貫したブランドイメージで患者様をお迎えできます。ロゴ、Webサイト、院内サイン、名刺、診察券などを統一感のあるデザインで準備でき、開業後のスムーズなスタートにつながります。

Q4. 既存の医療機関イメージを保ちながらリニューアルできますか?

A. はい、可能です。長年培ってきた信頼や親しみやすさは大切な資産です。既存の良いイメージは活かしながら、時代に合った形にアップデートするリブランディングをご提案します。患者様に「変わったけど、らしさは残っている」と感じていただけるデザインを目指します。

Q5. 他院との差別化が難しいのですが、どうすればいいですか?

A. 差別化のポイントは主に3つあります。1つ目は「専門性の明確化」。得意な診療領域や治療法を前面に打ち出し、「〇〇といえばこのクリニック」というポジションを確立します。2つ目は「患者体験の設計」。予約のしやすさ、待ち時間の工夫、スタッフの対応など、診療以外の接点も含めて設計します。3つ目は「ビジュアルアイデンティティの統一」。ロゴ、Webサイト、院内空間に一貫性を持たせることで、記憶に残る医療機関になります。弊社ではヒアリングを通じて貴院ならではの強みを発見し、それを可視化するブランディングをご提案します。

Q6. ロゴだけ、Webサイトだけなど部分的な依頼はできますか?

A. はい、可能です。「まずはロゴから」「Webサイトのリニューアルだけ」など、ご予算やタイミングに合わせた部分的なご依頼にも対応しています。ただし、ブランディングは各要素に一貫性を持たせることで効果を発揮するため、可能であれば全体設計を視野に入れた段階的な導入をおすすめしています。「今年はロゴとWebサイト、来年は院内サインや採用ツール」といった中長期プランのご提案も可能ですので、お気軽にご相談ください。

加藤 廉太郎

加藤 廉太郎

プロダクションマネージャー

映像会社を経て、ザ・カンパニーに入社。ウェブ、グラフィック、映像、アプリなどのクリエイティブ制作進行を担当。

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