Culture

2016/01/03
酒とRAPとメキシコの地下鉄と・新年のご挨拶

年末の忘年会は仕事のため1度しか参加しなかった。

それもあってか、宴は度数60度の与那国島の泡盛「どなん」を起爆剤に盛り上がったようで、朝起きると両手両足は黒いガムテープでぐるぐる巻きにされ、胸毛にまでテープが張られている始末だった。最近めっきり飲まなくなったが、酒を交えることで最高の高みへと一緒に召されることのできる愛すべき友人達がいることも確かで、酒を完全に絶つことはできないし、そうする必要もない。

が、しかし、またやってしまった。

 

「ともさん、昨日ラップしてましたよ。あははは。」

 

そういえば、パンチョ(友人)がビートボックスをしていたような、いなかったような。

明るい酔い方をすると決まってラップをしてしまう癖がある、らしい。

歌いだした時の記憶はすでになく、何を歌ったのかも覚えていない。

翌日に皆の笑い者となるのが毎回の落ちだ。

 

 

一番思い出深いのはメキシコシティーの地下鉄に夜中泥酔して乗り込んだ時のこと。

途上国の電車やバスにはよく一発芸で小銭を稼ごうとする芸人や物売りが乗り込んでくる。ガムやチョコレート、髭剃り、スマホの液晶カバー、くじを売る人。CDを売る人はスピーカー持参で、駅と駅の間に何曲かを爆音でかけて無理やり視聴させ、ドアが開くと次の車両へと移動していく。その音量に怒る人が誰もいないということに最初のうちは驚いた。

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私がひどく酔ったその日、ギターやペルーの民族楽器ケーナ片手のミュージシャンならともかく、車両に乗り込んで来たのは運悪くラッパーだった。おもちゃのような車の形のスピーカーの安いビートを片手にスペイン語のラップで乗客をまくし立て始め、しばらくするとアジア人ルックの私に気が付きやって来てなんだかんだ歌い始めた。

何を言われているのかよく分からなかったが、見た目で違う私を選んだのだから何かそれについて言っているのだろう。

 

よし、そうですか、それならば、わかりました、えぇ、いいですよ、私もやりますよ、みせますよ、東京寄りの千葉県人ですからね、本当にいいんですか、知らないですよ、やりますよ?

 

口から飛び出したのはフリースタイル(即興)ではなく、きっと日本一有名なラップのフレーズであろう、

 

「俺は東京生まれHIP HOP育ち 悪そうな奴は大体友達~(ZEEBRA)」

 

だった・・・。選曲を完全に間違えた。いや、そういう問題ではない。

酔いに任せた勢いは1バースでは収まらず、最後の「荒れたOFF ROAD」までを両隣の車両まで聞こえる大声かつギャングスタのプロモーションビデオばりのILLな振り付けと一緒にご披露した。してしまった。気分はもはやShowbiz & A.Z、 アーメン。

 

最後にスペイン語で「Dinero para El, Por favor!」(彼に小銭を、お願いしまーす!)

というと、車内のほとんどの人が財布を開いた。

一緒に乗っていた友達に「LOCO」(頭おかしい)と冷たくあしらわれたが、これこそが本当の旅の恥のかき捨て、最高の異文化コミュニケーションなのである、と言い返した。

酔っぱらいながら。

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今年は開き直って、もはや素面でもラップをしてみようか。

年齢も年齢だがそんなことは関係ない。

また一つ、新しい遊びに手を出すだけだ。

 

 

今年もまた、新しい刺激と挑戦を!

本年もThe Companyをよろしくお願いいたします。

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