8月の初旬から始まった温泉の旅。
10月は千葉の実家で野暮用と衣替えを済ませ、再び西日本へ出発しようとしている。
2ヵ月で入った温泉は65か所程。
旅を始める前は1日4つか5つは入れるだろうと思っていたが、気が付くと夏の暑さに風呂の味も分からない状態になってしまっていた。なので数は気にせず、時間と体力の許す範囲で興味のあるお湯にだけ入るスタイルに自然となっていった。せっかく入るならお腹いっぱいになるまで名湯でノックアウトされたい。休憩所でぐだぐだ地元の人と話したり、うとうとして気が付いたら夕方まで寝ていたい。そんなことも含めての温泉の味なんだと私は思う。
極上の湯だけに浸かって、ゆっくり旅したい。
所々で出会ってくれる友人と地方都市の週末のイベントは旅の道のりを決める旗手になってくれた。
自然とラインは引かれ、千葉から栃木、福島、山形、宮城、岩手、秋田、青森、そしてその復路プラス新潟が秋を目前に辿ってきた道のりとなった。
入りたい温泉はまだまだあるし時間はいくらあっても足りない。しかし気持ちは満たされて千葉に帰ってきた。
自分では気がつかなかったが、母親がしきりに温泉臭いと言っている。
服も髪も、車も。
確かに硫黄や他の温泉臭が全てにまとわりついている気がする。
どこの温泉がよかったと聞かれることがあるので一発でお答えしたいと思う。
青森の蔦温泉です。
ごちゃごちゃ言わずそう答えよう。
もちろん宮城の西多賀温泉も、栃木の北温泉も、福島の温湯も、秋田の御所掛けも最高だった。いろいろ入ってわかったことは、人によって好みが違うということ。
泉質、温度、ロケーション、清潔度、休憩室、秘湯度、混浴、値段。一言で温泉と言ってもいろんな価値基準がある。
クラシックが好きな人もいれば民族音楽が好みの人もいる。一番というのは存在しない。
私が好きなのは歴史ある温泉だ。
田舎の温泉は人手不足や資金不足、自然災害などで閉業してしまう所も少なくない。なんとなくで続いている所は一つもない。人の気持ちがあって、手が入るからこそ今でも湯に入れる状態が保たれている。なので、お湯自体に力がある場所は現在までも残されるべくして残されているのだと感じている。歴史あるお湯はいつも裏切らない。きっと。
共同浴場なんかもいい。そこはその町の顔だし、地元の方が無給で管理をしているところが多い。そうして綺麗に保たれている脱衣所や休憩所を見るだけでいい気分になる。
温泉と一言でくくって旅をはじめたものの、お湯の波紋のように広がる街並みやそこに暮らす人々の途方もない時間の経過を感じて日本のノスタルジーにデッィプされるような感じ。そんな感覚で旅しています。
温泉シーズンもついにやってまいりました。いざいざ、出発であります!
バンザーイ! バンザーイ!バンザーイ!