Culture

2021/04/28
新生活のあれこれ・住居編

見知らぬに村に引っ越すというと、どんなイメージを持たれますか?

 

以前の移動続きの暮らしでは間借りの宿舎や番屋、仏壇部屋、ビニールハウス内のテント、山小屋のボイラールーム、農家さんとの同居、工場の屋根裏などなど、いろいろな場所での生活を選択肢なく強いられた。

しかし今回は住民票も移す本格的な引っ越しだ。

住環境も人並みであるべき、あって欲しい・・・。

 

 

 

 

しかしやはり、村の暮らしというのはホッコリでウエルカムというようなイメージ通りにはなかなかいかない。

それは人の良し悪しの話ではなく、物理的に土地や建物が少ないという話だ。

とくに私の村は山の谷間の猫の額に皆が寄り添うように住んでいる。

加えて、空き家はあっても中に仏壇があるからとか、知らない人に貸すには抵抗があるという人が多い。

所有者が誰か分からずに放置されている空き家もけっこうあるらしい。

 

なのでいきなりの新参者にとっては古民家暮らしで素敵な手作りライフゥ~、ウフフゥ~とかは程遠いお話しなのだ。

限界集落に近いこの村は移住者を呼び込み人口増加を目指したいが移住のハードルは最初からかなり高い。

金の話だけではないところが都会との大きな差を感じさせる。

 

 

 

 

私は仕事が決まった時点で住居の保証もされていた。

それは村の中では通称「飯場」と呼ばれる労働者用の簡易宿泊アパートだった。

入村する単身男子はだいたいみんなここへ入る(入れられる)。

10ある部屋の7部屋が埋まっていて、私以外は全員地域起こし協力隊の方だ。

バス、トイレ、洗濯機、2口だけコンロがあるキッチンスペースと冷蔵庫はその7人全員で共有となる。

この使い勝手の悪さ、想像できますでしょうか??

 

 

 

 

飯場に入居して2日目。

隣の部屋のいびきがうるさく眠ることが出来ない。

壁は薄い。

初日は酔っぱらって寝ていたので気が付かなかったのだ・・・。

季節労働の仲間のいびきなら気にならないくせに、よく分からない隣人のいびきとなると何故か変な嫌悪感を覚えてしまう・・・。

 

幸いなことにというか、結局というか、私は自分の職場の所有するプライベートキャンプ場で車中泊することにした。

 

夜は川の音や鹿の鳴き声をBGMにして眠りにつき、朝は鳥の声と山から登る陽の光で目を覚ます。

天気が良ければテントで寝る。

飯場よりも100万倍快適な眠りを手に入れることが出来た。

 

 

 

 

会社の人も気を使ってくれて空き家を探してくれている。

べつに今のままでの生活でも以前と同じかそれ以上に快適なので構わないが、もっといい暮らしができるならば家に一人で住んでみたいという気もする。

もはや自分にとっての普通がなんなのか良く分からなくなっている気もするが、こうやって少しずつ「暮らすこと自体」に馴染んでいくのだろう、か・・・。

まだまだ落ち着かないまま、村での生活が始まっている。

 

山の夜はまだ冷え込み、息が白い。

春はもうやってきたと思い込んでいたが、そう簡単にはいかないようだ。

風邪をひかないように気をつけようと思う。

 

は~るよこい、は~やくこい

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