Culture

2016/02/19
大阪 古着屋真骨頂 Lion Magic

ミカンの作業着のままアメ村へと降り立ってしまったので、とりあえずズボンでも買おうと数年ぶりに新品のペインターパンツを買う。久しぶりのパリッとノリののったズボンを履くだけでなんだかシティーな気分に。ミカンマネーでホカホカの財布は一軒目から緩い。

アメ村のことは何も知らなかったので、店員さんにいろいろと面白いところを伺うと、Lion Magicという古着屋のキムラさんはおもろい人で、行けばコーヒーでも出してくれるかもよ、とのこと。

 

アメ村から環状線をくぐってすぐのビルの2階にお店はあった。

店内から爆音でJoe Meekチックなポップが流れてくる。

店に一歩足を踏み入れウッドデッキに乗った途端にホワッと空気が変わったような気がした。明るい。というか眩しいような店内は照明がたくさんあるわけではなく、内装が黄色だった。店員さんは熱心に木の床にやすりをかけていたが私に気付いて、

「あ!いらっしゃい!なんでも聞いてくださいね!」

と、高めのテンションで言った。「聞いてくださいね」とはどういう意味か最初はよく分からなかったが、その意味はすぐに分かった。商品のタグには「2015.6」の様に日付と思われる表示しか書かれておらず、値段の表記がない。そうか、値段は店主に聞かなきゃいけないんだな。

 

店員さんはレコードが終わったタイミングで選曲を変え、そこから店内のBPMは夕方の書き入れ時のスーパーさながらになった。Sleng TengのブリブリなベースがJBLのスピーカーを揺らし、レジ後ろのレコード棚と立派なライオンのタペストリーが相まって異様な多好感に襲われる。まずい、何か買ってしまいそうな気分だ。

 

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広々した店内に余裕のある陳列で並ぶアメリカ古着は静かに行儀よくお客を待っているかのようだ。商品は一つ一つ丁寧に手入れされていてコンディションがいい。

古着のことはそんなに詳しくないが、この店は薄利多売の商売をしているのではないなとそのセレクトに納得させられる。明らかに一点一点の品を吟味して買い付けている。

 

「あ!それ、かっこええね!タグ見て!これはなかなかないでぇ、この色の褪せ具合、きっと窓際に干しといたまんまやったんやろうね!このグラデーションはもう芸術やね!しかもこの時期のポケTはなかなかないんですよ、しかもバックプリント!これもレアやね!これ、ええですわ!」

 

キムラさんは私が商品を手に取る度に説明をしてくれる。デパートでこんなことをされたらすぐにでも出て行ってしまうが、ここだと次から次へと商品に興味が湧いてくる。すべての商品にもれなくキムラさんのトークのおまけ付だ。むしろおまけが聞きたい。そのくらい話が面白く、服への愛情がビシビシと伝わってくる。押し付けがましさは全くない。

 

「コーヒー、よかったら飲んでくださいね」

「あ~すいません、ありがとうございます!商品めちゃおもろいですね、自分で買い付けるんですか?」

「そうです!来週も行くんです!アリゾナまでロスからレンタカーぶっ飛ばすんですけど、それがなかなかしんどくて~。でも、やっぱ田舎まで行けばレコードも古着もいい出会いがまだまだ残ってるんですわ、もうそんな時はしみじみですわ~。」

 

アメリカへの買い付け談義は関西人のキムラさんのキャラと相まって最高に刺激的だ。

 

「今かかってるの、誰のMIXですか?Sleng Tengしばりですか?めちゃかっこいいですね。」

「え~ほんまですか?恥ずかしながら、僕のMIXなんです。買い付けの時に車内で聞こうと思って組んだんですわ。よかったら、もらってください。」

 

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音楽と洋服、キムラさんは近年まれにみるオシャレでナイスなお方だった。

私が行った日は買い付けへ出る3日前で、店内の商品をすべて卸値で売ってしまうという奇跡的なラッキーにも恵まれ、アメ村2件目にして早くもリュックと両手はいっぱいになってしまった。

他の古着屋はまた次回かなぁ。いや、大阪へ来たら古着はここだけになってしまうかも。

 

素敵なお店の素敵なキムラさん、ありがとうございました!

また遊びに行きまーす!

 

Youtubでもお店のインタビュー動画があったので、よかったらみてみてください!

 

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