なんとなくマッチングアプリをはじめてみた。
最近初めてお相手と一度食事に行ったが、もうびっくりするほど盛り上がらず。
お相手の趣味を勉強し、数多の武器を背に臨んだつもりがなかなか乗ってこない。
そんなことをグチっていると「加藤さんって、すごい求めますね。」と事務員さんに言われたので”世界一つまらない男”はまだまだ現役だと思い知る。
そんな僕とお食事をご一緒していただけることになったのは、弊社が普段よりお世話になっているアーバンスペースの中島さん。
ご代表というお立場の方と1対1でご飯に行くなど初めてで、とても有難い機会をいただいた。
さて、どうプランニングすべきだろう。無い頭でぐるぐると思考を巡らせてみる。
どうすれば喜んでいただける?なにかサプライズとか?一層行かないのが正解?考えれば考えるほど空振りそうなのを感じ、フラットに自分が今行きたいところにご一緒してもらうことにした。
学生時代はよく海外旅行に行った。
カナダ、シンガポール、ドイツ、チェコ、ハンガリー・・・その土地の空気感に触れると、こんな僕でもピリピリと脳を刺激するような興奮があった。ヘビーリスナーである「オードリーのオールナイトニッポン」で若林が言っていたことを思い出し、次に旅行するならモンゴルに行きたいと思った。モンゴル人はストレスという言葉を知らなくて、説明すると「羊がなかなか集まらないときの感覚ね。」と。どんな場所で、どんなものを食して、何を感じて生きているのか興味深い。そんな思いから今回のテーマをモンゴル料理店に決めた。
世界一つまらないやつにそんな大層な大義名分はなく、本当は年末の孤独のグルメを見てからずっと目をつけていたお店。そこは、今まで降りたことのなかった街・巣鴨にあった。
駅から歩いて10分ほどの住宅街にあるのが「シリンゴル」というモンゴル料理店。
結構話題のお店なのに、意外にも巣鴨で働く人はあまり知らないお店らしい。
モンゴル料理は、基本的に羊肉と乳製品がメイン。
かつて遊牧民は大地を尊重して土を傷つけなかった。畑を耕さないから野菜がなかったという。
まず出てきたのがジャガイモとピーマンの冷菜。今ではちゃんと野菜を食す。
次にきたのは、名物「チャンサンマハ」。骨付き羊肉の岩塩煮という料理。
羊肉の塊をナイフで削ぎ落として食べる。モンゴル料理ではあまり香辛料を使わないらしく、シンプルな肉肉しさが良かった。
自分的に一番好きだったのが「羊肉ボーズ」。ボーズとは蒸しまんじゅうで、少し皮が厚めな小籠包みたいなもの。
お酒メニューも豊富にある中で、モンゴル産のウォッカがいくつもあった。
モンゴル人はウォッカで身体を温める文化があるのかと思いつつ後日調べたところ、1950年代に旧ソ連から蒸留方法が伝わってから生産が盛んになったという背景があるらしい。
まずは「チンギスハンウォッカ」をいただいた。
メニューにはさっぱりとした味わいとの表記があったが、さすがに度数がキツくてどこら辺がさっぱりなのかはよくわからない。
次に「アルヒ」という銘柄。モンゴリアン・ウォッカとも呼ばれる代表的な銘柄とのこと。味はウォッカだった。
続いて「ハルアルヒ」という銘柄が2種。さっきのアルヒとの違いとか、この頃にはどうでも良くなる。
モンゴルの酒文化に浸っていると、馬頭琴という弦楽器の生演奏が始まった。
馬頭琴はモンゴルの象徴的な楽器で、幼い頃には乗馬と馬頭琴を習得することで一人前になるという。
この辺りから記憶が虫食い状態になる。
それでも酒文化探訪は続き、モンゴルの馬乳酒のような味わいの「アミールハイ」。
甘さ控えめなカルピスにアルコールを加えたような飲みやすいお酒。
その他の料理も総じて美味しく、初めての巣鴨を十分すぎるほど満喫した。
2軒目はそこそこにその日はお開きとなった。
結果的に今日この時間をご満足いただけただろうか。
自分が勝手に楽しんでいた感覚はあるけれど、不甲斐ないことに肝心な記憶がところどころ抜けている。
いつもは自ら触れないような自分のことばっか話していた(正しくは引き出していただいていた)ような気がする。
マッチングアプリで会った人には、自分の話なんて全然しなかったのに。全然してなかったのか。
そんなことを考えながら、山手線の巣鴨駅を出たのは23時頃、気づけば25時に終電の池袋で下車していた。
2時間かけて2駅移動し、割と高かったイヤホンは片方失くなり、それでも近いうちにまた行きたくなる巣鴨だった。
お付き合いいただき、ありがとうございました。