Culture

2019/05/22
NVC(非暴力コミュニケーション)

NVCとは、「過酷な状況に置かれてもなお人間らしくあり続けるための言葉とコミュニケーションのスキル」のことである。

とのこと。

私なりに翻訳すると、対立する課題を本当の意味の解決に導くための話し方の手法のことだ。

 

NVCを知ったのはパーマカルチャー界隈の話題からだった。

パーマカルチャーは禅やマインドフルネスなど、いわゆる精神世界に通じるジャンルも網羅している。そうなるとこの話題から離れて行きたい人がいるのも承知しているが、NVCはとても現実的な方法で、ただの気休めではないと思ったので紹介しようと思う。

マーシャル・B・ローゼンバーグ著、NVC 人と人との関係にいのちを吹き込む法(新版)、日本経済新聞出版社よりです。

 

 

 

 

NVCは観察、感情、必要としていること、要求の4つの要素から成り立っている。

これら一つ一つを入念に考えて会話を構成していく。

 

観察の部分では、自分の持っているバイアスを注意して取り除き、客観的に物事を見て状況を把握する。道徳を持ち出す、比較する、責任を回避するなどのことがないように自分の言葉を選ぶ。相手を評価するのではなく事象を把握する作業をする。

 

次に感情の部分では、観察したことに自分がどういった気持ちを抱いているかを相手に適切に伝える。これは少しややこしいが、「自分が何を思っているか」と「今の自分をどう思っているか」、また、自分以外の人間の反応や行動に対し、「自分がどう感じているか」と「自分がどう思っているか」も区別される。思うことと感じることは実際には異なっているからだ。なんとなくではなく、純粋な「気持ち」だけを見定める作業だ。

 

その感情のおおもとには、自分が必要としていることが隠されている。本質的な感情が理解できると、自分は何を欲しているかを理解することができる。時に、正直にこれを表現することは恥ずかしさや痛みを伴うかもしれない。しかし、相手に対して自分がどんなことを感じるかを伝えなければ相手に真意を分かってもらうことはできない

 

この3つのプロセスで自分自身を自覚する。

 

そして最後に相手に対して要求をする。

自分が必要とすることを満たすだろうと思われる行動をとってもらうように人にお願いをする。明確に、具体的で肯定的な言葉で要求を表現することによって、自分が何を望んでいるかを伝えることができれば、何を言いたいのかという本質をお互いが理解できる結末となる。

 

とてもとても搔い摘んだ説明になってしまったが、このように会話の一つ一つを慎重に吟味してコミュニケーションを図る方法がNVCだ。

ここまでの説明が本の前半3分の1に収められている。

中盤から後半の見出しは、「共感の力」「思いやりをもって自分自身とつながる」「怒りを十分に表現する」「紛争を解決する」「力を防御的に使う」「自分を解放し人に助言する」「NVCで感謝を表現する」と続く。

 

 

 

 

正直、なかなかまどろっこしいプロセスだと思う。

しかし、言われて考えてみると、自分が本当に何が欲しいのか、相手に対してどうして欲しいのかを普段どれだけテキトーに話しているかがよく自覚できる。しかも、相手が自分の言った通りのことをしてくれも満たされなかったりして、お互い不機嫌になってしまうことも多々ある。(ほら皆さん、あなたのパートナーとのことを考えて見て下さいょ・・・)。

 

つまり、自分のことがよく分かっていないのだ。

何か伝えても結局は自分の望む通りの結果に至らないことは多く、そのなんとな~くな結果に現代人、特に控えめな日本人は慣れきってしまって、あぁぁ・・・。

コミュニケーションだけではなく、自覚のプロセスとして学ぶだけでもNVCは有効だ。本質を突き詰めていく過程は禅問答と似ていると私は感じた。本の後半には、たった一言だけで相手と理解し合ったケースの紹介も登場する。相手の気持ちを理解し、共感できる言葉を的確に言い当てられればいいのだから。

 

各種メディアでもだんだんと露出が増えてきているNVC。

私のトンチンカンな説明で大変恐縮ですが、ご興味持たれた方はぜひ踏み込んでいただきたい新しい世界です。

 

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