ビパッサナー瞑想へ参加してきた。
ビパッサナーとは「洞察」という意味で、ブッダが説いた瞑想法を実践することを目的としている。
しかし、それは仏教の教えとは異なり、「真理の体験」をゴールとした修行法である、ようだ。
実際に、様々な宗教に属する人が参加していた。
参加には事前に申し込みが必要で、男性は一カ月、女性は二か月先まで予約でいっぱいの状態。
サブカル、スピリチュアル雑誌や旅人の間で結構な人気らしい。
場所は東京から2時間ほど離れた千葉の田舎。
男性25名、女性25名が別々に生活し、毎日のほとんどの時間を瞑想して過ごす。
期間は10日間。
その間、参加者は一言も口をきいてはいけない。
誰とも目を合わせてはいけいない。
読み書きや、音楽を聴くこと、激しい運動をすることも禁じられている。
修行という表現がぴったりくる10日間だ。
10日のうち、最初の3日間は精神集中の訓練で、4日目からビパッサナー瞑想が始まる。
ビパッサナー瞑想の特徴は、自分の体の微細な感覚の変化に気が付くことによって現実の無常を理解するという点にある。
頭のてっぺんからつま先まで、体がどのような感覚を感じているかゆっくりゆっくり探っていく。
慣れない座禅の姿勢をとり続けること、常に浮かんでくる雑念、隣のおじさんのお腹のなる音などなどと格闘しながらも、5日目には早くも瞑想による「違い」に気付くようになった。
体全体が泡のような感覚になり、全身の細胞が常に生まれ変わっていて、自分の体がエネルギーの固まりのように感じる。
8日目には体の内部の感覚を探るようになり、頭の中を探っているときには脳味噌が激しく痙攣しているような感覚になり、恐ろしくもなった。
夜には講和の時間が1時間半あり、瞑想やブッダの話がたとえ話で語られる。
涙が出るほどありがたい日もあった。
そんな10日間は終わってみればアッという間。
できることならあと2,3週間続けてみたいと思った。
そのくらい面白く、奥深い世界だ。
しかし大切なことは、学んだことを実生活の中で還元することであって、誰しもがブッダのように完全な解脱に向かい生きるものではないということ。
最終日が終わり、参加者の誰もがすがすがしい顔をして談笑している。
素性の知れない50人が集まり、よくわからない瞑想を10日間ただ続ける。
でも、今は同じメッセージを受け取った同志になったような気分だ。
誰しもが多くのことに疑問を持って生きなくてはいけない時代だと思う。
流行のパワースポットや自己啓発本もいいけれど、大昔から受け継がれる修行で、本気で自分と対峙してみるのもいいのでは?
おすすめです。