1月にEmレコードからリリースされた「逆襲のサイケアウツ」は素晴らしい作品だった。
最近のジャングルやハードコアの再興にドンピシャで合わせてくるEmのセンスが光っている。
加えて今回のイベントは手練れ揃いのSoi48のパーティーで、以前タイのラッパーJuuを見に行った時の衝撃も未だ記憶に新しい。
これは期待できると弊社関口を誘い山梨からウキウキで出発した。
会場の「SPACE」は思ったよりも小さい箱だった。ステージ上を含めても100人入らないのではなかろうか。スタートの6時少し過ぎに着くともう既にぎゅうぎゅうだ。
そしてしかも、はなからかなりバイブスが高い。
会場は熱気でムンムンだ。
Soi48のパーティーは演者のやる気も客層もいい。
DJ陣は一曲入魂で誰も外さないし、客もガッツリ乗るきまんまんで遊びに来ている。毎回のゲストはいつも意表を突かれるチョイスで驚きの連続だ。
かかる音は日本の民謡やアジアのベース、ダンスミュージック(あまり詳しくはわかりませんが)で、雑多なビートがものすごいテンションで繰り広げられる。今時のカオサン通りはこんな感じなのだろうか。(いや、音はきっともっとショボい、多分)
本気というかオタクと呼べてしまうのか、音楽に対する真摯な態度には頭が下がる。
そして今回はメインのサイケアウツに寄せてのことか、DJも攻撃的に上げている。
音響も自分達で持ち込んだサウンドシステムだ。アジアっぽいチープな電光掲示板やLEDでデコられた拡声器が付いていたりして見た目はイカツい。その反面に、温かみがあり雑味のない体に吸い込まれるような音を放っている。なので至近距離で大音量を耳にしてもストレスがかかる感じがしない。終始誰かしらがスピーカー前に張り付いている。気持ちいいのだ。極め付けは地を這い続ける重低音。最高だ。関口もご満悦である。
サイケアウツは22時からだったがその前にもうガーッツリ踊り切った感も否めない。
音がとにかく気持ちよくずっと体が動いてしまう。
東京も残雪があるかと思い重たいブーツで来てしまったのは完全におのぼりさんだったが、それすらも全く関係なしに踊ってしまう。
サイケアウツのプレイはもちろんよかった。
作品のようなジャングルやブレイクコア主体ではなく硬質なテクノだった。サンプリングでBboyネタ(JBやパブリックエネミー)がさりげなく登場するところなんかはそそられる。
ノリノリな会場と反してDJ中も全然踊らず、顎に指を添えたりしながら思慮深い感じで淡々とプレイする姿が印象的だった。そのスタンス通りで音の一つ一つにも良い物だけが選ばれ大切に配置がされている。緻密に手作でり作り込む職人技のようだ。デジタルでありながらも音そのものの質感が伝わってくる感じが病みつきになるグルーブの根底にあるような気がした。
もうそれ以降の後半はいつもの通りあまり覚えていない。
ふと我に帰りもう帰ろうかと思ってハッとした時、まばらになったフロアには全員の多幸感の残り香のようなものが残っていた。
迂闊にも近年稀に見るナイスパーティーで、ちょっと開いてしまってレベルアップしたようだった。
大袈裟ではなく生きる力を与えてもらった。
サイケアウツ、また是非とも体感したい。
Soi48のパーティーもどうやら病みつきになってしまったようだ。