酒を抜いて2週間たった。
気が付くと酒屋へ向かっていたり、はっとするとビールをプシュッと開けているなどということは、ない。
いらいらするわけでもなく、手も震えない。
ほぼ抵抗なくすんなりとアルコール抜きの生活はスタートした。
よかったよかった。
飲まなくても毎日は流れて行く。
週末は友人が来てBBQとなった。みんなは飲むが、私は飲まない。
そうなるとどうなるか。私は盛り上がって話している友人を脇目にただただ火の番をするだけであった。
今まで自分が飲まない飲み会など経験したことがなかったかもしれない。
これは正直とてもつまらない。
私は、飲みの席で、酒を飲まないと、おもしろくない、ということが、分かった。
下戸の友達が飲み会に参加していたのは奇跡なのではないだろうかと過去の記憶を振り返った。そして自分がいかにしょうもない醜態をさらしていて、それを素面の方々に見られていたのかと思うと川に飛び込んで家に帰りたくなった。
週に何度も自宅の夕飯に招いてくれる上司の家には今まで通りお邪魔している。
ご飯はとても美味しく毎回食べられない量が机に並ぶ。
酒を飲んでいた時は白米などの炭水化物はそんなに食べずにアルコールが胃袋の殆どを占めていた。
しかしいざ飲まなくなると、私は高校生のような食欲を一気に取り戻した。4,5人分を一度に食べてしまう程である。
これまでどれだけ酒が脳や体の栄養を補っていたのかと思うと自分の不健康具合に笑顔がつい引きつってしまう。
酒を抜けばどんどん痩せるかと思っていた。
しかし、このままいくとかなり太ることになりそうだ。
そして朝から晩までコーヒーと紅茶と緑茶をずっと飲んでいる。
カフェインに走っている。
タバコは吸わないが下戸の友人に煙好きが多いのもよく理解できてしまう。
体も脳も隙あらばホッと弛緩するタイミングを狙っている。
カフェインを摂らないとなると次はきっと甘いモノに走るのだろう。
こ、これが嗜好品というやつなのか・・・。
集まりとか、飲んでいいよというシチュエーションの時には必ず飲んでいた私だった。
今はその全ての状況で酒が飲めない。
するとどうなるか。
集まりに行かない、ということになる。
自分が白けてしまうから。
え、ってことは、今まで自分は酒を飲みに色んな所に顔を出してただけなのか?もしかして?えー、そうなのかな?
でも、けっこう本当にそうだったのかもしれない。
心のどこかではうっすらと分かっていたが、まじでそうなのかも・・・。
例外ももちろんあるが・・・。
以前の断食のブログにも書いたが、口にするものは交友関係を決めるくらい大きなインパクトを持っている。
まじか。酒も同じなのか(俺にとっては)。
今朝、共有のキッチンに入ると、昨夜の誰かの宴会のアルコールの残り香が漂っていた。
思わず顔をしかめた。
酔っぱらっている誰かのイメージが頭に浮かんできた。
なんだかそれは、ぜんぜん気持ちのいいものではなかった。
このままいつまで禁酒の生活を続けるのかは分からないが、いろんな小さなことが少しずつ確実に変わってきている。もう少し長い目で色んなシチュエーションを経験しないと確かなことは言えないが、生活のけっこうな部分が変わる気がしている。
これで本当に、本当にいいのか、俺よ・・・。
この葛藤は単純に悪魔と天使の2択ではない。
もう少し自分の観察を続けてみようと思う。
変わりやすい空模様はだんだんと雨一色の予報になろうとしている。
山の梅雨がやって来る。