Culture

2021/12/20
村のDJing

私の住む村の人口は500人と少し。

そんな場所で、「DJやらない?」とお声がかかった。

 

場所は平屋を改装したコミュニティーサロンと呼ばれる建物だ。

村民が集うための施設で、非営利の集会のみが許されている。普段は地域の集会場に使われたり、ヨガ教室が開かれたりしている。

今回はミュージックカフェという名目でわざわざイベントを組んでくれた。

私の他に、地域おこし協力隊の友人がLiveをすることにもなった。

 

日曜日の午前中、やって来るのは子連れの家族とお年寄りだろう。

さてさてさて、選曲をどうしたものか・・・。

全戸配布のチラシも写真となんだかすごいプロフィール入りで配られてしまい、ちょっと緊張してきたぞ。

 

 

私はクラブでプレイしたことは数える位しかない。

DJと名乗るには名乗るが、ダンスフロア向けのプレイは正直できない。

でも音楽をかけることは好きなので、隙あらばそのタイミングを密かに狙っている。

結婚式の二次会、お茶工場の打ち上げの宴会、JICAの立食パーティー、コスタリカの学校での保護者説明会の廊下、集会前の体育館のBGM係、などなど。

思い返すとけっこうおもしろい場所でやってきた。

選曲はもちろんその場その場に合ったものを目指すが、できるだけ媚びず、なおかつ耳に良い良質な音だけをお届けしたい。

果たして今回は・・・。

 

 

当日は晴天に恵まれた。

そんなにお客は来ないだろうと高を括っていたがしかし、スタートの30分前から入り出した村人は多い時で30人を超えるほども集まった。

コミュニティーサロンの窓を開け放ち、中から外に向かって音を出す。

子供達はおもちゃ遊び、奥様方は外の日向の椅子に座って談笑、のような感じになった。

 

近隣の了解の下、かなりの音量を出させてもらいPCで曲をチョイスする。

自分が好きな音楽をシェアして聞いてもらうというのはもう本当に気持ちがいい。

子供が聞いても大丈夫そうなものを中心に選曲していく。

アコーディオンの音をかけるとチビ達はまるで遊園地にいるかのように荒れ狂って騒ぎ出したのには大そう驚いた。

Jazzをかける度にアーティスと名を聞いてくるおじいさんや、「音楽好きなんです、私も」と声を掛けてくれる奥さんも。

カフェとバーの間位の温度感になったのではなかろうか。

 

 

そうやって、終始和やかに3時間は過ぎて行くかと思われた。

が、しかし、2時間を過ぎた頃。

イベントを企画してくれた方が近寄って来て私に言った。

「あの、DJ Saharaはいつ始まるんですかって、質問されちゃったんだけど」

 

そう!お年寄りの村民は、DJとはレコードをキュキュッとやる芸か何かだと勘違いしていたのだった。

私達は爆笑し、「一応DJやってます、Saharaです」と、お客に挨拶をして、アナログプレイへと移行したのだった。

わっはっはっ

 

 

これからも隙あらばこの村を音楽で刺激したい。

そうやって文化活動が起これば、DJとは何かも分かってもらえる日がやって来るかもしれない。

 

終演後、チップの箱には15000円が入っていた。

村でのDJingは総じて最高だった。

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