Notes

2018/05/31
Hop Tripする夫婦

 

「ノブさん達ロシア行ったよ」

「えっ!」

 

ノブさんと奥さんのしょうこさんとの出会いは福島の漠原人村での満月祭だった。

チャリで会場へ向かっていた私は村への林道で激しく転倒し、両腕両足血だらけ泥だらけになってなんとか祭りに到着した。チャリは壊れた。周りの人に「大丈夫ですか~?」と心配されながらのスタート、とても恥ずかしい。

20歳だった私はヒッピーの祭りは初めてで、なんのこっちゃよく分かっていなかった。ペーパーの巻き方も全然なっておらず、着火しても途中でぼろぼろと中身がこぼれた。

流血する体、降りしきる夏の雨。 デデンデンデン。。。

 

ノブさん夫婦は少し離れた隣にメッシュの広々としたテントを張っていた。寝室用のテントがちゃんと別に張ってあって、キャンプ慣れしているのがすぐにわかった。俺の一個室で前室も無い貰い物の山テントとは雲泥の差だ。

快適そうだ。

美味しい匂いも漂ってくる。

 

俺はガキだったが、幸運なことに、持つべきモノは持っていた。よし。

・・・「一緒にお野菜食べませんか?」

我々は仲間になった。

 

 

 

 

そんな出会いから、10年以上たった今でもノブさん夫婦は未だに旅の暮らしを続けている。というか、二人は長旅をしながらでもできる仕事を選んだのだ。ノブさんはウェブ制作のフリーランス、奥さんがそれをサポートしながら家のことや旅の段取りを組んでいる。IT音痴で全てが無計画な私からするとそのコンビネーションは羨ましい。毎回電気製品購入の相談はノブさんにしていて、失敗こそが旅だと勘違いする私・・・。

 

そんな2人の書くHop Tripという旅ブログは、ただのノマド、ただの旅行者とはちょっと一線を画す旅への気合いが見え隠れする。

まず、旅ブログとしての情報量とバリエーションがすごい。私のアナログな旅とは違い、IT機器を現地で使いこなし、レンタカーを自由に乗り回し、長旅であっても賢く快適そうな足運びで遊んでいる。2人を見ていると、ヨーロッパなんか私は一生行くことができないのではないかと恐ろしくなってしまう。

そんな反面、山に川に海にと自然のフィールドのルポも多い。ヒマラヤへ上ったりユーコンを下ったりと壮大なスケール感だ。そして国内の登山とかならば自分で食料と酒を担いで登山するスキルと体力がある。(なんとマラソンも早い)

日本語で書かれる海外のアウトドア情報はネット上でも結構貴重だろう。のぶさんの音楽好きも高じてフェスやクラブの記事も多い。

総じていうと、旅で暮らすスキルと、自分たちの旅の楽しみ方を心得ているベテランである。

 

 

が、しかし、Hop Tripという彼等のブログの名を忘れてはならない。

「まぁ、全部ビール飲むためだよ」と、のぶさんが言うときはちょっと怖い。

そうだ、一番すごいのは酒への愛なのだ。2人とも。

さくっと、「今日はワイン2リットル」とか書いてある日常的な感じをみると、他のジャンルのやんちゃぶりから考えて、とてもやんちゃに飲んでいることが想像できてしまう。どこかへ行くときは酒のことをいつも忘れない。飲む量が量だけに、コスパを意識した酒のチョイスは参考になる。

「今日は飲みすぎちゃったー」とかいうただの人ではなく、言い過ぎると時には命を削るように飲む2人。

多分だが、禁酒圏、イスラム圏とかは2人のウィークポイントだろう。 

やはり、天は二物を与えなかった。

 

 

 

 

のぶさん宅へ遊びに行くときは少しの気合いと翌日への諦めの気持ちをいつも抱いてお邪魔する。また酒を持って、旅の話を聞きに行くのが今から恐ろしくも楽しみだ。

 

きっと今夜もロシアの街角でウォッカを飲んで気合を入れているだろう2人。

よき旅を!Have a hop trip!

 

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