Notes

2020/12/18
ごろつきの家探し その一

温泉を巡る者(私)にとって別府とは聖地だ。

私はこの聖地を巡礼するだけでなく、実際に住んでみたいなぁと思った。

しかし、そこそこ都会な別府の街ではなかなか住める気がしない。もう少し中心から距離がある所で生活がしてみたい。

 

 

 

 

そんな話を友人にしていると、彼はわざわざ3人くらいの人伝をたぐって別府のキーマンを紹介してくれた。有難い。その人は市内でカレー屋を営むMomoさんという女性だった。

別府でたまたまいくつか予定が重なり、彼女に会いに行くことにした。

 

カレー屋は商店街にあった。

少しヒッピーな匂いがして、店内はそこそこ雑然としている。長いひげのおじいさんとかお洒落な文系女子がお茶をしている。他人同士がコミュニケーションをとれるスペースになっているようだ。

Momoさんは農を知っている人だと見た目でわかった。多分この人の作る料理はおいしい。

手土産のお茶を渡して身の上話をしながらスパイスの効いたベジカレーを頬張り小一時間だらだらしていると、近所の内成という棚田がある地区に住み込み始めたゴー君とリョー君の話が出てきた。彼らは愛媛でのミカンもぎのバイトの後に別府に移住した若者らしい。

そして、そのバイトは私が10年前に働いていたものと全く同じだった。

 

はい、ビンゴー。

 

今夜、2人の家では流しそうめんパーティーがあるらしい・・・。流しそうめん(?)。

 

レッツゴーだ。

きっと彼らの暮らしは私のモデルケースに違いない。

 

 

 

 

2人の住む内成は町中から車で2~30分。

くねる坂道を登り切ると、日本の棚田100選にも選ばれた美しい田んぼと遠くの海が目の前に拡がった。

 

適当に行けば何かしらの目印を見つけられすぐに2人に会えると思っていたが、集落はけっこうな広さで家々は転々としていた。

ゴー君に電話をし、暗くなる前になんとか合流することが出来た。

 

「はじめまして、いきなりすいません」

「いえいえ、流しそうめん食べて行ってください!」

 

庭には4、5メートルはあろうかという立派な竹製で手製の流しそうめん台が拵えてあった。

 

「今日はどんな人たちが来るの?」

「なんか、市役所の人が来るっぽいですよ。あとはよく分かんないっす」

「え?あ、そなの?・・・」

 

よく考えればそれもそうだ。

2時間前に連絡してきていきなりやって来た私が参加している集まりなのだから。

意味不明で当然だ。

 

でも、なんだかおもしろそうな予感だけはしている。

 

続く。

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