Culture

2025/06/25
ダンガン京都旅

 

 

ふと思い立って、夜行バスを予約した。

その日に京都に行かなければならないような気がして仕方がなかったのだ。

バイト先にすぐに連絡を入れて、シフトを調整してもらった。

 

土曜の夜、東京駅の八重洲口からのバス。初めての一人旅、初めての夜行バスに、昂っていた。

夜行バスは寝づらいだとか、過ごしにくいだとか、そんな話を周りから聞いていたため、若干の心配もあった。

しかしながら、そんな不安は夢のようで、気づいた時には京都駅到着のアナウンスが流れていた。

多少の寝不足感を残しながら下車して浴びた朝日は、とても心地が良かった。光合成しているような。

実のところ、京都に行くことを決めた理由は、半分は衝動、半分はダンスのためであった。

 

ダンスの予定は夕方から。現在時刻、6:30。12時間近く空きがあった。

朝食を摂り、自転車を借りてまずは泉涌寺に向かった。

駅から東に20分ほどの位置にある泉涌寺。ここは天皇家ともとても縁のあるお寺だという。

本殿は坂道を登ったてっぺんにあった。山に囲まれていて、辺りは鳥の声と砂利の音に包まれていた。

本殿の中には大きな仏像と、大涅槃図があった。その大きさは日本最大級の約7m×15mにも及ぶといい、当時これを手書きしたと考えると、足が震えた。

泉涌寺を出る時には、太陽も随分高く上り、春から夏への移り変わりを匂わすような暖かさに包まれていた。

 

 

自転車を南に少し進め、途中の小さなお茶のお店に立ち寄り、宇治抹茶アイスでひと休憩。

そのまま伏見稲荷大社へと向かった。

近づくにつれて人混みが増して、自転車で進むのも困難になっていった。

入り口には屋台がずらりと並び、食欲を刺激する匂いがした。と同時に、法外な値段(=屋台価格)で売られる食べ物たちを見て、少しげんなりしながら最初の鳥居をくぐった。

突き当たりを右に、すると、そこからオレンジ色の行列が山の中に向かって続いていた。

実は、中学生の頃に一度、修学旅行で京都に来たことはあったが、その時は時間が足りず伏見稲荷大社を訪れることができなかったので、その光景にとてもワクワクしていた。

数百本の鳥居をくぐったところで分岐点があった。さらに山奥へ向かう方と、下山する方。

勿論。私は山奥へと伸びる道を選択した。

少し歩くと、また、分岐点にぶつかった。勿論、どんどん山奥へと向かっていった。

15分ほど登ったところで小屋のある、いわゆるチェックポイント的な場所にたどり着いた。

何かと人が多かったが、そこで見つけた張り紙に足を止める人が続出していた。

見ただけでちびりそうになるこの張り紙。戻る人を横目に私は足を進めた。

また途中で京都を一望できるチェックポイントがあり、そこからの眺めはとても綺麗であった。

 

 

ただ登り始めたら早く、気づいたらあっという間に登頂した。伏見稲荷山は頂上の小屋でのみ手に入る手拭いがあるのだが、惜しくも完売していたので、参拝だけして帰ることにした。

 

 

10段くらい降りたところで、海外の方が1人で写真を撮っていた。

1人で撮るのは難しいだろうと思い、声をかけてみたところそのまま意気投合し、残りの下山を共にした。

彼女は、イタリア出身で現在はスリランカの学校で働きながら、よく一人旅をしているという。

今回の旅は、大阪からの京都からの東京という中々ハードスケジュールな2週間ほどの旅であった。

ちょうど京都最終日だったらしく、何かの縁かなと思い、一緒に嵐山に行くことにした。

嵐山は、中学生の時の修学旅行で訪れたことがあったが、約10年ぶりのその景色は記憶よりも遥かに綺麗だった。

京都駅から約40分ほど、西側に位置する嵐山はその名の通り山に囲まれていて、大きな川が流れいる。

その波の音は直接脳みそを洗い流してくれるようであった。

その大きな川を跨ぐように掛かっているのが渡月橋。

川を渡っているのに、泳いでいるのかというくらいに、波の音と風の冷たさが心地よかった。

ふらふらと街を散策し、天龍寺の入り口まで入ったところで、時間を迎えてしまい引き返すことにした。

 

川の音が心地よかったので1踊りした後、彼女とはハイタッチを交わして別れた。

そのまま、ダンスのWSへと向かった。

 

「オリジナルの作り方」

これがこのWSのタイトルだった。

「morale」という京都で活動するダンサーで、東京でのWSは行っていなかったのでとても念願だった。

東京からはるばる受けに来るのは自分ぐらいだろうと優越感に浸っていたが、まさかの生徒の半分以上が東京から来ていた。

東京にいても全く出会わなかった人との、京都での出会いに少し感動した。

色んなダンサーのスタイル、考え方、オーラから刺激を受け、バケツがいっぱいになったWSであった。

 

 

ふと時間を見ると時刻は22:00を過ぎていた。

16時間前に京都に着いたばかり、あっという間だった。

沢山の出会いと、自然と囲まれた旅。

 

帰りの深夜バスに乗る直前、大阪LOVERを聴いていた(大阪には行ってないけど)。

「近そうでまだ遠い大阪」。この歌詞、意味は違えど、ちょっとわかったような気がした。

 

陸路で6時間ほど、遠いと思っていた京都は意外と近かったな。けど、まだ京都を知り尽くすには足りないな。

日本っていい意味で狭いな。

そんな日本でも行ったことない土地ばかり。

 

もっと日本を旅したいと、そう強く思った。

 

だから、私はもっと旅することを決めた。

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