Culture

2020/10/02
スピリチュアル茶房のリトリート

私が働くお茶工場には、スピリチュアルな人がいる。何人もいる。

 

この工場から車で30分程離れた高千穂のガソリンスタンドへ行った時、たくさんの荷物を積んだ私の車の中を見て店員が話しかけてきた。

「長いこと旅してるんですか?」

私は他県ナンバーの引け目から、「(近所の)ほにゃらら茶房で働いています」と答えた。

するとスタンドマンは、「あぁ、あそこの茶房にはなんだか見えないものを見える人がいるんでしょう??」・・・「はぁ・・・。んん?」と、私。

 

けっこう離れた町でもそんな噂はひろまっているらしかった。

 

 

 

 

ある昼休み、事務所で昼食を食べているとポンポコさんがやって来た。

彼女は、「ボーイハントしに来たー」とかなんとか言っている。

いつも陽気で一人でもよく喋っている彼女なので今も何か適当に言葉を発しているだけなのかと思っていると、ハントされるボーイは私のことらしく、食事を終えて部屋を出ようとすると彼女はついてきて、「時間少しありますか、5分くらいで、まぁいつでもいいんだけど」と言った。

彼女が見えない世界が見える人という話は聞いていたので、「あ、俺ミラレルのか」と察しがついた。

 

人のいない工場裏に椅子を出して座り、「行為」は始まった。

この作業をなんと呼んだらいいのか私は知らない。

 

 

 

 

とりあえず目を閉じてみる。

ポンポコさんは私の頭や胸の骨をコンコンと叩いたりさすったりする。

 

「まぁ私にしかこんなのはできないからね~、このために生きているようなもんだしね」

「みてくれっていわれてさ~、お使いたのまれたんだよ、こういうの久しぶりよ、あ、でも午前中社長もみたんだけどね」

「あぁ、わかるわかる」

「あぁ~こりゃぁ過去生だね」

 

・・・そして、適当な歌(まじない系とかじゃなくて本当にただの歌)を歌ったりしている。

特別に何か変化を感じることはない。なるべく彼女の発する言葉を聞き逃さないように注意する。たまに、うっすら目をあけてみる。彼女は私の頭や胸から何かを引き出すような仕草をしている。

 

「はい、終わり~」

 

5分くらいでその行為は終わった。

彼女は手を石鹼で洗って、口をゆすいだ。

 

「頭に何か輪っかみたいのがついてるね。模様のついた。アフリカに行ったんだもんね~」

「・・・はい」

 

「どう?明るくなった?」

「うぅん、そういわれてみれば、うぅん、もうちょっと時間が経ったら感じるかも、なのかも」

「何も感じなくても別にいいのよ~」

 

 

 

 

こういう「行為」を受けるのはペルーのジャングル以来だった。

沖縄でもみてもらおうと思ったが、なにをなんのためにみてもらうのかわからなかったのでやめた。

私は霊感とか、ミエルというのは普段全く感じない。

そして今回も、ポンポコさんが手をあててくれたことだけが現実に残ったことだった。

でも、なにか気が付かない部分で、変わっているのかもしれない。

そういう世界がないとは言わない。

 

行為の最中に彼女がミタモノについてはあえて聞かなかった。

聞いたとしても理解に苦しんだり、無意味な詮索好きのような気がして聞かない方がいいのかも知れないと思ったからだ。

スピリチュアリティは現実と行為の中だけに存在する、と思いたい。

頭の中にあるのはお花畑だけなのだ。

 

たまーに私の人生にやって来る、「スピリチュアル」な期間。

今回の職場もなんか、すげぇ。のかもしれない。知りません。

 

雨季が峠を越そうとしている。

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