天草でコーヒー豆を買いに行こうと車を走らせていると、三角(みすみ)という地名が目に入った。
三角(さんかく)?・・・ヒッピー村、「サイハテ」のある所だっけ?確かスペクテイターに昔記事があったような、なかったような。工藤シンクっていう、なにかキレモノの人が福島の震災後に作ったコミューンだ、たしか。
三角(みすみ)を さんかく と読み間違えていた私はGoogle mapで検索をかけた。
サイハテまでは20分くらいで着くらしい。
さくっと覗いてみよう。
天草の綺麗な海を横目に走りやすい道路からいきなり始まる急斜面の山道を一気に登っていく。
「ナビおかしいぞコレ」と思うと同時に道路脇の看板が目に留まった。
田舎では普通目にしないサイケなデザインなのですぐにそれと分かる。
結構整備されていてウェルカムな感じだ。
山道は2駆の車では心配なほどの急こう配だ。
10分ほど駆け上がったところで一つ目の広場に出た。
炎天下の中お兄さんがユンボを操って土地を開拓していた。何か声をかける理由もないし、外者が勝手に見学に行っていいものなのかわからなかったのでしばらく辺りの様子を伺っていた。
すると道の上から軽が降りてきて運転席の女性が声をかけてくれた。こんにちは。
彼女の耳にはアメリカの星条旗柄の球体の大きなピアスが付いていた。とんがり帽子から覗くチリチリの茶色い髪の毛と年季の入ったオーバーオールがとてもよく似合っている。
眼がよく開いていて、一般の人ではないことが分かる。
「見学ってしていいんですかね?」
「いいよいいよ!この上が村なんだ。今は昼でみんな外にいないかもしれないけど、適当に見てってよ。談話室みたいなところもあるから、そこには誰かいるかもしれないわ」
「村」に行くと民家が道の両脇にちょこちょこあらわれた。
昔人が住んでいた集落で、しばらく誰も住んでいなかった場所なのかもしれない。
そこに再び人が入って来て手を加えて住んでいる、そんな印象だ。
停まっている車のナンバーを見ると住人はどうやら全国から集まって来ている。
アースバックやバックミンスターフラーのドームなんかがあってヒッピー感が漂っている。
村には見学者やWoofで来た人が泊まっていくようなドミトリーやカフェのようなラウンジがあって外者にも開かれた雰囲気だった。
私が行った時はコロナ禍だったのでほとんど人がおらず実際の盛り上がりは分からなかったが、施設としてのクオリティーはかなり高い感じがした。プールがあったり、自分たちでレンガを作っていたり畑があったり。自治も上手くいっているのではないだろうか。
ここの住人となるためには審査があるらしく(誰かが言ってた)、ある程度の何かの基準があるのだろう。
サイハテの主催者の工藤さんとは面識がないが、共通の友人が何人かいる。
「悟ってる」
「何が起きても動じない人」
とか、そんな感想を聞いたことがある。
会ったこのない人から言わせると、
「土臭さは薄い」
「キレてて洗練具合が高い」
とかのイメージを持っている人が多い。(工藤さんすいません)
私のようにアポなしでも見学に行っていいようなので、近くに寄ったらふらっと行ってみてはどうだろうか。
新しいヒッピー村の姿がみれますよ。