Culture

2021/12/24
知らない場所に行ってみた話

例えば、きっかけでもない限り頭の隅にもないような、普段は決して立ち入らない領域があるとして

そんな世界があると知ったとき、勇気と好奇心を持ってぜひ一歩足を踏み入れてみたい。

 

・・・

僕は正直、あんまりそう思わない。「知ってる世界」が気楽で楽しい。

勇気を出して踏み出すことに億劫、というより面倒だと思ってしまう。

大体のところ、人のレコメンに心が揺れることはない。

そんなんだから、“世界一つまらない男” と呼ばれるようになっていた。自覚はある。

2021年1月入社のThe Company加藤です。

 

そんな私に、弊社メンバーからのレコメン(というよりミッションに近い)提案があった。

それから実に約半年、ようやく重い腰をあげたところだった。

 

普段、自分がいる世界とはまるで違うディープで閉鎖的な空間。

 

 

「ゴールデン街を3軒ハシゴ」

それが弊社メンバーのレコメン(というより強制ミッション)だった。

 

ほとんどのお店が5、6席ぐらいカウンターのみ。

店内を覗くと常連さん(のように見える人々)がマスターと談笑している。

僕みたいな者がお店を選ぶときの基準として、一番に除外するのが「常連さんが溜まる狭いお店」。

しかし、客一人いない店に入って「ミッションクリア」と胸は張れない。

 

そんなことを考えて、気づけばエリア一帯をグルグルと4周目に入っていた。

さすがにやばいと思い、目に優しそうな照明の(一番入りやすそうな)お店を見つけて飛び込んだ。

そこには既に3名のお客さんがいて、マスターと楽しそうに談笑中。

不自然にソワソワする初心者にすぐに気づいたマスターが話しかけてくれた。

 

「もしかして、初めてですか?」

「はい。ずっと気になってはいたんですけど一人で来る勇気がなくて、なんとかやっと。」

「おお。実はここにいるお客様みなさん初めてなんですよ。」

 

驚いた。思っていたのと違う。

聞くと、そこにいた大阪弁のおじさんも、仕事帰りの先輩後輩も、機をうかがってようやく来店した人たちだった。

他を寄せつけない閉鎖空間だと思っていた場所に、同じ気持ちの人だけがいる。

新鮮であり、嬉しくなり、ホッとしたと思ったら少し拍子抜けだったり、変な気持ちだった。

そんな奇妙な出会いを経て、お店を去る頃には握手をして別れた。

 

2軒目はそこそこに3軒目へ。3軒目のお店には男性2人組。なんとまた初めて来たという方々。

その頃にはもう、ここが2時間前まで抱いていたイメージとは違う場所であることは知っていた。

こんな僕が当たり前のように他人と同席して酒を飲んでる。

今日のことをブログに書くと言ったら、載せてくれとキメてくれたのは、イラストレーターの高橋さん。

 

 

そんなこんなで、カウンターのみの狭い空間からおいとましたのは午前3時。

「知ってる世界」の一歩外は、案外居心地がよかった。

 

少し勇気を出して未知なものに飛び込むということに、正直まだまだ億劫だし面倒だとも思う。

家でアマプラ見て夕方になったらラジオ聴きながら銭湯へ行く、いつもの生活が気楽で楽しい。

 

しかし、そんな心地良い「知ってる世界」から一歩外に踏み入れたときの意外性を知った。

一歩引いたところから見ている景色と、その内側はまるで違うものである、こともあると知った。

殻を破ったというのは大袈裟だけど、薄皮一枚ぐらい剥がせたような感覚はあった気がする。

 

ひとつ確かなことを言えば、ゴールデン街楽しかった。

 

 

Written by Kato(The Company)

Special Thanks to YU TAKAHASHI

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