Culture

2015/10/30
スケーター Atsushi君

柏の町でちょうど1年ぶりにAtsushi君と再会した。

 

ニットキャップに白シャツとレッドキャップのパンツ、シューグーで補強された白のコンバース。

デッキ裏のデザインは原画がほぼ全部見えないほどの使いこまれよう…。

どっからどう見てもスケーターのお兄ちゃんは、眠気眼の登場で、相変わらず元気そうだ。

すぐにコンビニでビールを買って柏の裏へと歩き出した。

 

 

Atsushi君はEazy Missというスケートチームのメンバーで、茨城在住の33歳。

先日POSSIBILITIESというタイトルで彼の作品もお披露目された。

スケートが上手いのは言うまでもないけど横ノリならではネジの抜け具合も抜群で、彼がスケートバカなのを物語っている。

年下の俺にも何故か丁寧な敬語で話をしてくれるとてもピースなお方だ。

 

 

「このレッドキャップは茨城のサンキで買ったんすよ!なんと一本千円!安いっすよねぇ。で、近所にサンキ3店舗あるんですけど全部チェックしに行って4本まとめ買いしたんすよ。あははは!で、レッドキャップがなんでサンキにあるのか気になって調べてたら、ハワイにサンキがあるんすよ!知ってました?関税の関係でいろいろあんすね!いやぁ、このサンキっていうとこから足元固めていくっていうレッドキャップの姿勢には頭下がりますよぉ。しかも、このパンツ、メイドインホンジュラスのタグの上にメイドインメキシコのタグが張ってあるんすよ!もう謎だらけっす、あはは!」

 

ん~、まさに安くていいグッズが必要なスケーター目線の買い物術だとうならされる。

 

昔はFREAKSだった店の前でビールを呑む。

俺もAtsushi君も久々の柏で、町の変わりようにびっくりする。

昔はよくシャッターの閉まった後の2番街のアーケードでスケートをしていたとのこと。

柏にもスケーターの友達がいるよ~ とかいう話をしながらZEINAPに入ると、その友達とまんまと再開した。

 

店の半分がカフェになってリニューアルしたZEINAPでまた飲み始める。

スケート雑誌のスラッシャーを眺めながら、「この手摺りはどの国のどこどこの公園で、どこの誰が伝説のトリックを決めて有名になって、とにかくすごいんすよ~。」

と、手摺り一つ、階段一つでどこかわかってしまう彼のオタクっぷりにただただ驚かされる。

好きこそものの上手なれ、ストリートのことならなんでもござれなのである。

 

 

「え?スタミナ冷やしのグラフィックすか?あぁ、あれはSさんがボムってるんですよ、へへへ」

「え?SさんってSちゃんのこと?マヂ?釧路でも千葉でも、たしか福岡でも、いろんな町で見たよ?えぇまぢかぁ、びっくり。悪い男よのぉ、あははは」

 

また一つ町の謎が解けた。

 

 

オリンピック競技になるかもと言われるスケート。

スケーター達の間では賛否両論だけれども、Atsushi君はいいことだと言っている。

「子供とかに教えられるなら、ボランティアで全然行きたいっすよ!ただでいいんすよ!」

人生の半分の時間をスケートしながら育ってきた彼の暖かい人柄と、スケートへのあくなき愛情を知ると、こうやって育つキッズが増えればいいなと思わされる。

そう思うと、オリンピック競技になっていろんな人が興味を持つようになったらいいなと単純に思うし、この世界で食っていける人が増えればなとも思う。

 

リアルなスケーターはほぼ全員貧乏だ。

 

 

またストリートの住人から元気をいただいた。

俺もがんばろー!頑張れスケーター! 頑張れAtsushi君!

 

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