Culture

2018/04/26
愉快な職場

 

私はコスタリカの芸術学校で働いていて、今職員室にいて、自分のデスクに座っている。

この部屋にデスクを持つ、身ごもって7カ月になるロサと校長のエミリアがいる。

今日は月曜日なのでのんびりとしたものだ。

というか、ボランティアの分際で豆のような存在の私は、いつでもブログを書くほどの余裕がある。

今朝も校長が朝から大声で騒いでいる。

 

「また隣の高校の生徒がフェンス越しにちょっかい出しに来てるわよ!!!誰か警察とっとと呼びなさいよ!」

 

生徒のお父さんが相談に来る。

「7-6組(中学一年)のダレカレ君が、うちの子にドラッグを勧めてるみたいなんだが、どうにかしてほしいんだ。」

「あぁセニョール、今私、忙しいのよね。でも、言っておくわね。言っておくわ」

こんな話もうちの学校では日常茶飯事で、エミリアは慣れたもの。彼女がたじろいでいるのを見たことがない。

 

 

 

 

「トモ、日本語でComa mierdaってなんて言うのよ?え?Mieridaってのはkakaのことよ、kaka!」

「うるさいなぁ、うんこ食べろだよ!Eat Shit!」

「ウンコタベロ!ウンコタベロ!ウンコタベロー!」

・・・もう、朝から気分最悪だ。私は下品なのは大嫌いなのだ。ましてや学校の校長ともあろう人が・・・。

学校行事でミサをするくらいに校長は敬虔なカソリックなはずなのに、彼女のパソコンからはオームのBGMがかかっていたりして、職員室は異様な空気に凍る時もある。というか俺だけが凍っていて、そんなことにかまっている先生は一人もいないのだが・・・。

 

「トモ、ちょっと演劇のフェルナンド先生呼んで来なさいよ。チャリンコで、すぐでしょ。」

私も負けてはいられないのだ。

「誰それ?知らないよ」

「じゃ、メルセデス呼んで来て、隣の部屋にいるから」

「ありゃ、こりゃ、はい、私の負けです」

 

・・・こんな具合で、この部屋にいる人間は校長の言いなりにならざるを得ない。車を持っている先生はアッシー君だし、オタクな先生は彼女に日々痛めつけられるパソコンのかかりつけだ。

コスタリカの階級社会はけっこうエゲツナイ。

 

 

 

 

昼休みにエミリアが部屋から出ていくと「シレンシオ!!(静かになった!)」と言ってロサは両手を挙げた。

 

「チンポ♪チンポーン♪」

 

彼女が唯一覚えた日本語で歌い出した。

 

今週も、また一週感が始まった。

 

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