Culture

2021/01/20
自粛要請中の大阪 その2

昔に3ヵ月だけ雇ってもらっていたタコス屋へ向かう。

外食産業の不振は知っていたのでちょっと気合いを入れて店のドアを開いた。

 

「ちわぁす!オラ~!ブエノ~ス!」

 

「・・・おぉ!え!?ぁあ、え~~!久しぶり~!」

 

多分いきなりすぎて完全に俺の名前がとんでしまった店長のガンさんは相変わらずだった。

むしろ顔色はとてもいい。

 

 

 

 

大阪の中心地は12月半ばまで営業時間の短縮要請があり、応じた店には給付金が出る。ここTaqueria la fondaも夜9時までの営業だ。

「お店閉まっちゃうから早く行かなきゃ―」みたいな人がけっこういて、みんな密を求めて繁盛店には人が群がっている。

誰が食っても有無を言わさず旨いこの店は大丈夫だった。よかったぁ。

 

「大変なのはチェーンとか大手さ、どんどん潰れてるのはさ。どんどん潰れちゃったらいいよね、ああいうのは。うちみたいに小さな店は大丈夫よ、固定のお客さんもいるしね」

 

この店は強気にUber eatsもやっていない。すごい!

私は店長の相変わらずのスタイルについつい嬉しくなって一人で5500円分も食べてしまい、閉店後もビールをいただいて大阪食い倒れの洗礼を受けた。満腹。

 

 

 

 

このご時世でも店長のガンさんはもう少し広い店舗を探している。

「次に来た時はまた共(筆者)を雇えるように準備しとくからさ」と、この半分浮浪者のような私を気遣って送り出してくれた。

店長はめちゃくちゃかっこよかった。大阪の光はここにもあったぞ。

ありがとうございます、おおきに!

 

 

 

 

翌朝も残る満腹感をスパイスですっきりさせようとmr.samosaというカレー屋に向かう。

ここもタコス屋同様に個人経営のお店で、以前来た時は玉ねぎの収穫のバイトを紹介してくれたりしてとてもフレンドリーなお店だった。

 

不思議なものでカレー屋とタコス屋はどの町でも面白い形で私の人生に関係してくれる。

人や家を紹介してくれたり、働かせてくれたり、ただ奢ってくれたりと。

 

「カレー屋やろうってのはちょっと変わってる人多いよね~」

 

そう言う店長のケンケンさんもやはり変わっていて、ここはカレー屋なのに7時からモーニングをやっている。

朝からモリモリとスパイシーなカレーを食べてひと汗かいて出勤するたくましいサラリーマンを想像すると、この店の仕事は健全な都市の循環に一役買っているのだなぁ、と意味不明に納得する。

ここのビリヤニプレートはおいしぃ~。

 

 

 

 

店長はカルチャーなお方で仕事も遊び心満点だ。

販売用のスパイスキットにはEvisbeatsのMixのダウンロードコードが付いていたり、しかもその入れ物がとっても粋だったりする。心身共にメディカルなスパイスだ。

 

 

 

 

毎日更新されるお店のインスタを見ているとメニューも結構な頻度で新しくなったりしていて目が離せない。モーニングが7時からなのも固定のお客さんの要望からその時間になったらしくなんとも個人経営的暖かさがあるなぁと思う。

 

「飲食店は確かに大変よ。夜営業できない飲み屋はとくにね。だから最近はコンビニの前でみんな飲んでるよ、ほんまおもろいで。なぁ。サウンド持ち込んでブロックパーティーやったらええねん。あかん言われるけどな。」

 

きっとmr.samosaはどんな時代にもたくましく面白く商売を続けていくだろう。

 

もう大分お腹いっぱいになってしまった大阪。

出発の予定は決めていないが、コロナなど全く気にせずに居心地の良い沼にはまったように出られなくなってしまっている。

 

続く(?)。

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