Culture

2021/07/07
新生活のあれこれ・農業編

 

今まで農業というものに携わってきたはきたが、そのほとんどは収穫期だけの仕事だった。

なので、土を耕したり、肥料を配合したり、種をまいたり、水をあげたり、ソダを立てたり、間引いたり、マルチやトンネルを作ったり、雨除けのビニールを張ったりなんだりかんだりをしたことが今までなかった。

つまり、今やっと農業らしい農業を体験している。

 

 

 

 

百姓は100の仕事をすると言われることもあるように、色んなことをする。

そして、どの作業をとっても教科書に書かれるような鉄板な正解がない。何故かというと、土地や天候なんかのあらゆる要因で野菜の出来、不出来は左右されるので何が正解かは農家によっても年によっても違ってくるからだ。

種の撒き方一つで芽が出たり出なかったりする。同じものを同じタイミングで撒いたとしても、上司の方は綺麗に芽が出揃うのに、私の方はうんともすんともいわなかかったりする。

耕運機は何故か私の列だけ土が固いままだったり真っ直ぐにならなかったりする。

なんの仕事でも同じだが、最初はどんな作業をやってもバシッときまらず実にいじらしい。

 

 

 

 

しかし、草の刈り終わった綺麗な農道や、日に日に成長する野菜の成長を目にできることは体を使って働くことの対価が目に見えて安心感を与えてくれる。

一つ一つの作業自体にけっこうな充足感がある。

それらのあれやこれらの積み重ねが通知表となって帰って来るのは大きな仕事のモチベーションになる。

 

 

 

 

私の会社は有機肥料、無農薬栽培に切り替えたばかりの初心者なので日々試行錯誤の連続だ。

その中の新入社員の私なので色んな理想はまだ言えるわけではないのだが、目の前の現実から感動をもらって農業というものに飽きずに向き合っていこうと思う。化成肥料や農薬についても思想から入るよりも実際に使っている現場が見える方が使わないことの説得力も増すはずだ。

 

我が社の畑には知り合いやお客さんがちょこちょこやって来る。

虫が本当にダメな人や、土のことを汚いと言う人、真っ白なエアジョーダンを履いてくる人とかもいる。

どこが野菜の埋まっている畝か分からずにずかずかと畑を踏み荒らしてしまう人や、雑草と苗を間違えて抜いてしまうお手伝いの人もいる。

数カ月前までは自分もこんな感じだったんだよなぁ。そういう人たちと接するのはいい自警になっている。こういう人たちはまだ実のなっていないトマトやニンジンの葉っぱを見ながら、「え~これがあの野菜なの~まじ~全然わかんな~い、すごい~かわいい~超ばえる~~」と素直に感動するからだ。

 

山の梅雨は冷たい。

夏の日差しを待ちわびつつ、美味しい野菜を毎日楽しみにせっせと働こうと思う。

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